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メールマガジン Vol.088

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 春秋社 メールマガジン【Vol.088】
   2026年 7月 3日配信
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巻頭言!

こないだまで手術のために入院していたんですが、病院の消灯が午後9時だったんですね。深夜アニメのファンである私にとって、この時間に「電気を消して寝ろ」と言われるのはまことにつらい。しかも実は個室だったので、ひっそりテレビをつけてアニメを見ようと思えばできなくもなかった。でも、私のあるかなきかの良心が咎めるので、後ろ髪を引かれる思いに耐えながら、泣く泣くアニメを諦めました(褒めてください)。で、何が言いたいかというと、この「午後9時消灯」という規則は、一種の「規範」なんですよ。

「規範」という日本語はどこか道徳的というか、お堅くて、カビ臭さを感じる人も多いと思いますけど、実際のところ人間の行動や言動を規定する目に見えない何か一般のことで、このたび九州大学准教授・ 飯嶋裕治先生の『規範と人間――行為・理解・知覚』という本を刊行したのでこんな話をしてるんですが、先生によると、規範ってものすごく広い概念なんです。野球のルールも規範。挨拶のマナーも規範。……このあたりは「まあ、そうだろうな」とも思うんですが、漫才のツッコミがボケの頭を殴るのも規範。つまりお笑いのお約束ってのも、人間の行為をある型にハメるものだから規範なわけです。

しかし規範が人間の行為を規定するとか制約するとかいっても、どう規定しているのかは大きな謎です。9時消灯でも深夜アニメを見ようと思えば見られるし、いくら「人を殺してはいけない」といっても、殺人事件は起きる(今日もマスコミが騒いでいます)。これが自然法則なら、たとえば、ビルの屋上から石を投げれば、「落ちるな!」と念じようが、「空中でとまれ!」と祈ろうが、石は私の思いなど一顧だにせず落ちていく。法則たるもの、ほんとうはそうでなくてはならぬ! でも、規範の場合は簡単に無視できる。実に無力。

そんな規範が人間の行動を縛るってどういうこと? というのを追求したのがこの本です。まことに素朴な疑問ですが、ピュアでシンプルな疑問から世界の秘密の深奥へ迫るのが、哲学の醍醐味というもの。

参照される哲学者の面々も凄い。ウィトゲンシュタインの高弟アンスコム、分析哲学の巨人デイヴィドソン、ウィトゲンシュタインの規則のパラドクスを追求した天才クリプキ(ちなみに、規則のパラドクスも本書で詳しく論じられています)、徳倫理学や政治思想でも有名なチャールズ・テイラーや人工知能批判でも有名なドレイファス、そして日本を代表する哲学者・和辻哲郎、などなど。

こうした知の巨人たちの力も借りて規範と人間の微妙な関係を追究するとき、大理石のなかから少しずつ石像が彫りだされていくように、人間がどういう存在なのかが浮かびあがってくるのです。人間の本質とは何か? お楽しみいただければ幸いです。(K2)
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■目次■
▼webマガジン「web春秋 はるとあき」
▼「じんぶん堂」好評連載中!
▼新刊案内(6月刊行)
▼近刊案内(7月刊行予定)
▼書評情報
▼重版情報
▼営業部だより


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☆ webマガジン「web春秋 はるとあき」☆ https://haruaki.shunjusha.co.jp/
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●好評連載●
○事業表現考――組織的表現としてのビジネスの技法  桜井肖典/増村江利子(聞き書き) → https://haruaki.shunjusha.co.jp/categories/1150
たった一人のささやかな発見がかたちとなり、人々と共有されていく。「組織的な表現活動」としてのビジネス、そのつくり方をめぐる旅
【第6回】「資本」と「会社」ってなんだろう → https://haruaki.shunjusha.co.jp/posts/9726
○社会を癒す「私」になる――マインドフルネスとポリヴェーガル理論が拓くケアのまなざし  井上ウィマラ × 花丘ちぐさ → https://haruaki.shunjusha.co.jp/categories/1154
Teachers主催「マインドフルネス・カレッジ」オンライン講座における井上ウィマラ氏 × 花丘ちぐさ氏の対談をもとに加筆修正・再構成したものです。
【第5回】「私」と再びつながるために――手放すこと、完了させること【対談:井上ウィマラ×花丘ちぐさ】 → https://haruaki.shunjusha.co.jp/posts/9704
○イタリア文学哲学散策――特にルネサンス文化下の著述家たち  澤井繁男 → https://haruaki.shunjusha.co.jp/categories/1139
パヴェーゼ(2) → https://haruaki.shunjusha.co.jp/posts/9563

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★「じんぶん堂」好評連載中!★
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出版社と朝日新聞社による、“人文書の魅力を発信していくプロジェクト” 「じんぶん堂(powered by 好書好日)」では書籍紹介や読み物など、魅力的な内容をお届けしています。ぜひご覧ください。※木曜日更新(月3回)
◇6月4日 公開◇
歓喜する反撃――サロメ・サケ『抵抗 無関心からの脱却』が描く希望 → https://book.asahi.com/jinbun/article/16575408
フランスで40万部以上のベストセラーとなった 『抵抗 無関心からの脱却』( 清水珠代・訳)の著者、 サロメ・サケの言葉。「抵抗活動は喜びに満ち溢れた場であっていい」と訴える彼女の理念を探ります。
書籍はこちらから → 『抵抗 無関心からの脱却』 https://www.shunjusha.co.jp/book/b10160133.html

◇6月11日 公開◇
交換様式論で読み解くSNS社会 → https://book.asahi.com/jinbun/article/16617526
◇6月18日 公開◇
交換様式Dと「しらけるという倫理」 → https://book.asahi.com/jinbun/article/16631375
『SNSと交換様式――しらけるという倫理に向けて』の著者・ 物江潤氏が、柄谷行人の交換様式論を解読する。
書籍はこちらから → 『SNSと交換様式――しらけるという倫理に向けて』

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★新刊案内(6月刊行)★  https://www.shunjusha.co.jp/search/new.html
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●『観音さまと生きる――石山寺縁起絵巻とわたしたち』
鷲尾 龍華 著
四六判/200頁/2,640円
滋賀県大津市にあり、紫式部とゆかりある古刹・石山寺初の女性座主である著者が、重要文化財である『石山寺縁起絵巻』を用いながら、観音さまのありがたさについて語る。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b10168974.html
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●『もうひとつの京都入門――もっと知りたい千年都市の歩き方』
鳥居本 幸代 著
四六判/200頁/2,420円
まだまだ知らない京都に出会う。平安京の面影、町衆文化の鼓動、近代に誕生した古都の息づかい。3つの時間軸・45の視点で読み直す、京都という日本の原点とその奥行き。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b10168973.html
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●『絶対音楽――その理念史』
マーク・エヴァン・ボンズ 著 / 堀 朋平、 西田 紘子 訳
四六判/532頁/5,940円
音楽の本質をめぐる問いの歴史をひもとく壮大なスケールの音楽思想史。音楽そのものに本質をもとめる「絶対音楽」の理念を鍵に、古代から近代へ音楽美学の系譜をたどる。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b10166223.html

*今月の営業部イチオシ本*
●『新しいインド音楽の世界――混沌と刺激のサウンドを求めて』
軽刈田 凡平 著
四六判/328頁/2,640円
いま、世界でもっとも面白いインドの音楽シーンをめぐる書籍。案内人はインド音楽ライター、その名も軽刈田凡平(かるかった・ぼんべい)。「インド映画の音楽」「カレー屋で流れるBGM」「自分探しの旅としてのインド」、ビートルズ、トランス、ロック、ヒップホップ、EDM、古典音楽……など、さまざまなトピックから新たなインド音楽の世界が切り開かれる!
装画:武田尋善 装幀:鎌内文
https://www.shunjusha.co.jp/book/b10168977.html

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★近刊案内(7月刊行予定)★  https://www.shunjusha.co.jp/search/next.html
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●『ひろさちやの『維摩経』講話〈新装版〉』
ひろ さちや 著
四六判/296頁/3,520円
快刀乱麻に並み居る菩薩・仏弟子を論破する維摩居士に仏教の教えを学ぶ。壮大な『維摩経』が伝える、「真の仏教」の姿とは。在家により興隆し今の日本に続く大乗仏教入門書。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b10170387.html
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●『釈迦〈新装版〉』
ひろ さちや 著
四六判/408頁/3,300円
仏教の祖、釈迦の辿った道すじを追いながら、初期仏教がどのように興隆したかを解説。原典をひもときつつ、これまで語り伝えられてきた様々な有名エピソードの真相を探る。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b10170385.html
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●『回峰行のこころ――わが道心〈新装版〉』
葉上 照澄 著
四六判/184頁/2,530円
不眠不臥・断食断水の期間を含め、七年千日にわたり比叡全山の諸仏を巡拝する回峰行。その科学にして科学を超えた奥義を、自らの体験を哲学的省察をもとに明快に説き明かす。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b10170380.html
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●『[正法眼蔵 全 新講]第三巻』
南 直哉 著
A5判/308頁/4,620円
仏教の思想の核心は無常・無我・縁起であるという立場から真意に迫る。第三巻は、修行のあり方を説く「行持」上・下と、縁起する存在の仕方を説く「インモ(インは任の下に心、モはあさかんむりの下にいとがしら)」の巻を収録。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b10170379.html
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●『「21世紀は仏教の出番」となるか――千日回峰行者・葉上照澄大阿闍梨の大志』
神藤 誉武 著
四六判/480頁/4,620円
戦後、世界平和に貢献した千日回峰行者・葉上照澄師の自伝などを収めた第一部と著者による日本仏教史・近現代日本の時代背景等の解説の第二部からなる歴史的大著。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b10170378.html
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●『規範と人間――行為・理解・知覚』
飯嶋 裕治 著
四六判/400頁/4,180円
規範とは何か。クリプキ、ハイデガー、チャールズ・テイラー、ドレイファス、和辻哲郎といった哲学者たちの考察を参照し、謎めいた規範の意味や拘束力の本質に迫る。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b10168971.html
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●『音楽は、宇宙の響き――オルガニストは現代物理学の夢を見るか』
佐治 晴夫、石丸 由佳 著
四六判/288頁/2,530円
現代物理学者と気鋭のオルガニストが、抱腹絶倒のヨーロッパ修行から、神の予感、音楽が心を動かす理由など、パイプオルガンの魅力とそこにひそむ科学を語りつくす。
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●『〈気づき〉の呼吸法〈新装版〉』
ゲイ・ヘンドリックス 著 / 上野 圭一 監修 / 鈴木 純子 訳
四六判/248頁/3,850円
人は無意識のうちに1日2万回以上も呼吸している。無理のない呼吸法を身につけることで集中力・運動能力の向上へ導く。少しの変化で心身のバランスが整う驚きのメソッド!
https://www.shunjusha.co.jp/book/b10170381.html
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●『《蝶々夫人》論――「日本の悲劇」の生成と変容』
長木 誠司 著
A5判/720頁/7,920円
プッチーニの傑作オペラ《蝶々夫人》。その起源と作品成立から受容、そして派生作品まで広範に渉猟し、近代日本の複雑なアイデンティティの在処にまで切り込んだ力作。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b10170383.html
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●『ピアニストはおもしろい〈増補版〉』
仲道 郁代 著
四六判/352頁/2,750円
ひたむきに歩み続けるピアノ人生、その舞台裏を楽しく綴る。初版から10年あまりを振りかえる補章「そこにあるという時を求めて」を追補。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b10170384.html
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●『ピアニスト その人生〈新装版〉』
園田 高弘 著
四六判/296頁/3,300円
理想を追い求め厳しく自己と闘いつづけた音楽家の生の軌跡。若き日に公刊された日記を収録。20世紀後半の日本及びヨーロッパ音楽界を内側から一望する貴重な証言。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b10170778.html

(※刊行時期は変更となる場合がございます。)

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☆ 書評情報 ☆ https://www.shunjusha.co.jp/news/nc3756.html
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○朝日新聞6/20にて『抵抗 無関心からの脱却』が紹介されました https://www.shunjusha.co.jp/news/n126977.html
2026年6月20日の朝日新聞朝刊にて、 サロメ・サケ著/ 清水珠代訳『抵抗 無関心からの脱却』の書評が掲載されました。
評者は経済学者の井手英策教授(慶應義塾大学)です。
「民主主義の内側から民主主義の条件を掘り崩すこれらの動きは、想像以上に体系的、周到、そして狡猾だ。ページをめくるごとに背筋が凍る。」
「抵抗は暴力と同義ではない。権力闘争の道具でも政権奪取の標語でもない。民主主義を守り、連帯を強め、社会を改善する人間的営為だ。」

○東京新聞6/20・中日新聞6/21にて 『いつも音楽のことを考えていた』が紹介されました
2026年6月20日の東京新聞(翌21日の中日新聞も同内容)にて、 仲道郁代著『いつも音楽のことを考えていた』の書評が掲載されました。
評者はフランス文学者で翻訳家の小倉孝誠氏(慶應義塾大学名誉教授)です。
「この書物では、降りてきた言葉たちが美しい旋律を奏でている。」
「クラシック音楽を愛好する、しないにかかわらず、読者を幸福な余韻に浸らせてくれる。」

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☆ 重版情報 ☆ https://www.shunjusha.co.jp/news/nc3760.html
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『フォルモサ南方奇譚』
倉本 知明 著
四六判/2025年4月刊/2,750円【2刷】
神々の楽園、台湾のディープ・サウスへ
歴史と伝承の狭間にある数々の奇譚から、すでにないのにそこにある、台湾の「いま」へと迫る17章。各章末に怪談コラムを付す。〔カラー口絵16頁〕
装画:Croter 装幀:鎌内文
●本書は電子版もございます。

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□営業部だより□
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本日7月3日は、ベラルーシ共和国の独立記念日です。
小社は2023年に、『女たちのベラルーシ――革命、勇気、自由の希求』(アリス・ボータ 著 / 岩井 智子、岩井 方男 訳 / 越野 剛 監修・解説)という書籍を刊行しました。本書は「欧州最後の独裁国家」ベラルーシで行われた2020年の大統領選で、打倒ルカシェンコをかかげ、理不尽な弾圧のなかで反体制派を率い闘った3人の女性――スヴェトラーナ・チハノフスカヤ、ヴェロニカ・ツェプカロ、マリア・コレスニコヴァ――の軌跡を追い、謎多き国家の知られざる実態を暴いた、ドイツ人ジャーナリスト渾身のルポルタージュです。
この機会に強く、おすすめいたします。 (E)

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発行:株式会社 春秋社
〒101-0021 東京都千代田区外神田2-18-6
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■バックナンバー
【Vol.087】 2026年 6月 5日 配信 → https://haruaki.shunjusha.co.jp/posts/9710
【Vol.086】 2026年 5月 1日 配信 → https://haruaki.shunjusha.co.jp/posts/9648
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