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メールマガジン Vol.054

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 春秋社 メールマガジン【Vol.054】
    2023年 9月1日配信
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 巻頭言
 2023年9月1日、関東大震災の発生から100年を迎える。この節目となるタイミングで、あろうことか内閣官房長官の口から、関東大震災当時の朝鮮人虐殺について「政府内において事実関係を把握する記録は見当たらない」という言葉が出た。内閣府ホームページ上で公開の、「災害教訓の継承に関する専門調査会報告書」1923 関東大震災【第2編】において、「朝鮮人が武装蜂起し、あるいは放火するといった流言を背景に、住民の自警団や軍隊、警察の一部による殺傷事件が生じた。」と記しているにもかかわらず、である。
 今年7月に、五月書房新社より辻野弥生 著『福田村事件――関東大震災・知られざる悲劇』が刊行された。四国から千葉へやってきた行商人達が朝鮮人と疑いをかけられ、自警団によって幼児、妊婦を含む9名が殺害された事件の記録である本書は、2019年に解散した崙書房からもともと出ていたものが増補・改訂された形だ。本日公開の森達也監督による映画『福田村事件』も、歴史的背景をこの本に依拠しているそうだ。
 歴史的なできごとは、時間が経つとともに人々の記憶から薄れていくものかも知れない。それを忘れないよう、官民問わず“記録”が作られるはずであるが、今回の官房長官による発言は、次代へ教訓を残そうと記された“記録”がそもそもその存在を無視されてしまったという点で由々しき問題であると思う。今年、没後80年を迎えたフランスの思想家シモーヌ・ヴェーユ『根をもつこと』に記された以下の言葉を、この機会にこそかみしめたい。
「破壊された過去はもはやけっして戻ってこない。過去の破壊は、恐らく最大の犯罪である。今日では、残存するわずかな過去を保存することが、ほとんど一つの固定観念となるべきである。」(E)

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■目次■
▼webマガジン「web春秋 はるとあき」
▼「じんぶん堂」好評連載中!
▼新刊案内(8月刊行)
▼近刊案内(9月刊行予定)
▼重版情報
▼編集後記

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☆ webマガジン「web春秋 はるとあき」☆ https://haruaki.shunjusha.co.jp/
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●好評連載●
○「戦後を譲りわたす――日本の「モダン・ムーブメント」建築史」 岸 佑
20世紀の日本の建築を読み解き、未来に継承するための建築史入門。
【第10回】占領から戦後へ ――パレスサイドビル―― → https://haruaki.shunjusha.co.jp/posts/7460
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○「フランスでのカンパネッラ」 澤井 繁男
末期ルネサンスの異端的修道士で自然魔術師でもあったカンパネッラの苦難に満ちた人生の果て、フランスに亡命し終焉を迎えるまでの最後の刻を描く。
【第3回】フランスでのカンパネッラ 下 → https://haruaki.shunjusha.co.jp/posts/7427

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★「じんぶん堂」好評連載中!★
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出版社と朝日新聞社による、“人文書の魅力を発信していくプロジェクト” 「じんぶん堂(powered by 好書好日)」では書籍紹介や読み物など、魅力的な内容をお届けしています。ぜひご覧ください。※毎週木曜日更新(月3回)

◇8月17日 公開◇
新時代のニーチェ入門――この人を(ちゃんと)見よ!(前編) → https://book.asahi.com/jinbun/article/14970831
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◇8月24日 公開◇
新時代のニーチェ入門――この人を(ちゃんと)見よ!(後編) → https://book.asahi.com/jinbun/article/14976860

→ 書籍はこちらから 『わかる! ニーチェ』 https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393323960.html

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☆新刊案内(8月刊行)☆ https://www.shunjusha.co.jp/search/new.html
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●澤田柳吉 日本初のショパン弾き
多田 純一 著
A5判/416頁/4,950円
明治から大正、昭和時代にかけて、ピアニストという職業のパイオニア的存在として多彩な音楽活動を通じて洋楽受容に大きく貢献した澤田柳吉の生涯を追う。
https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393936085.html
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●音楽と思索の廻廊
梅津 時比古 著
四六判/312頁/2,420円
音楽は社会と時代を映す。コロナ禍は音楽界に何をもたらしたか。日常のなかの音楽、コンサート一期一会、表現者たちの本懐…。音の文化の現在を捉えるやわらかな眼差し。
https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393936108.html

*今月の営業部イチオシ本*
【創業105周年記念復刊】
●白隠禅師 夜船閑話・延命十句観音経霊験記
伊豆山 格堂 著
四六判/304頁/2,750円
白隠禅師の名著二作、待望の復刊!
内観と軟蘇の二法による健康法を説く『夜船閑話』と、わずか42字の『十句経』の霊験譚を活写し、〈真正の大霊験〉を語る奇書『延命十句観音経霊験記』の現代語訳と解説。
https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393140222.html

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★近刊案内(9月刊行予定)★ https://www.shunjusha.co.jp/search/next.html
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『修行者達の唯識思想』
佐久間 秀範 著
四六判/384頁/4,070円
観念論や独我論として理解されがちな唯識は、思想というより修行法であったという原点にかえり、唯識の意義や文献における説かれ方、瑜伽行唯識学派論師の系譜を解説する。
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『修験道の経・講式・和讃・唱言』
宮家 準 著
四六判/304頁/3,850円
修験道では何を唱えているのか。大乗仏教の経から、修験道独自の経と勤行集、唱言、講式と和讃、問答について網羅し、解説と現代語訳などを付した画期的書。
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『いのちと性の物語――人格的存在としての人間の倫理』
竹内 修一 著
四六判/312頁/2,750円
現代人が直面する、安楽死、臓器移植、死刑といった難問に、ギリシア哲学、キリスト教、儒教の徳倫理学を考察し、徳、善、良心、愛を基礎として、読者とともに考えぬく。
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『日本語に生まれること、フランス語を生きること――来たるべき市民の社会とその言語をめぐって』
水林 章 著
四六判/356頁/2,860円
「天皇を戴く国家」か「市民による社会」か――今日の日本社会の危機的状況の根源にある、日本語に固有の言語問題と、その背後にある天皇制の呪縛に光をあてた渾身の批評。
https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393333976.html
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『質的研究の方法――いのちの〈現場〉を読みとく』[創業105周年記念復刊]
波平 恵美子、小田 博志 著
四六判/240頁/2,640円
質的研究の魅力をめぐり、斯界の第一人者として多くの業績を残してきた文化人類学者、大いに語る。人間への温かな眼差しに貫かれた、命の現場と関わるための体験的アプローチ。〈新装版〉
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『星を見る人――日本語、どん底からの反転』
恩田 侑布子 著
四六判/260頁/2,640円
芭蕉、蛇笏、久保田万太郎、石牟礼道子、荒川洋治、井筒俊彦、草間弥生……詩想の源泉に脈打つことばの手ざわり、肌ざわりに誘われ、情感の深みへ。五感を震わせる評論!
https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393444245.html
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『玉響 正木ゆう子句集』
正木 ゆう子 著
四六変判/208頁/2,420円
からだもこころも食べ物も飲み物も喜びも悲しみも山も海もみんなアナログ。『羽羽』(蛇笏賞)以降の約三〇〇句を厳選。比類なき俳人が瑞々しく詠いあげた日常、そして永遠。
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『改訂版 エスノグラフィー入門――〈現場〉を質的研究する』
小田 博志 著
A5判/376頁/3,520円
人々が生きる現場をどう内側から理解し深めていくか。医療・介護・福祉・教育等、ヒューマンサービスの現場に限らず、マーケティング分野でも必須の調査手法をきめ細かく紹介。
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『ラテン語宗教音楽キーワード事典』[創業105周年記念復刊]
志田 英泉子 編著
A5判/248頁/4,400円
西洋音楽の礎、「祈りの歌」の宝庫。典礼暦年の基礎知識から種々の「聖歌」テキスト対訳まで、音楽芸術の伝統に触れる喜び。付:教会ラテン語の読み方。〈新装版〉

(※刊行時期は変更となる場合がございます。)

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★ 重版情報 ★ https://www.shunjusha.co.jp/news/n53888.html
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『静寂から音楽が生まれる』
アンドラーシュ・シフ 著 / 岡田 安樹浩 訳
四六判/424頁/3,300円
今日世界でもっとも注目を集める音楽家の一人であり、日本における人気と注目度も極めて高いピアニスト、アンドラーシュ・シフのインタビュー&エッセイ集。【好評6刷】
♪アンドラーシュ・シフ来日コンサート情報♪
・2023年9月29日(金)/東京オペラシティ コンサートホール
・2023年10月1日(日)/ミューザ川崎シンフォニーホール
https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393936023.html

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□編集後記□
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 9月に入りましたがまだまだ厳しい暑さが続いております。みなさま体調にはくれぐれもお気をつけてお過ごしください。
 さて、小社は1918年8月22日、神田豊穂、古館清太郎、加藤一夫、植村宗一(直木三十五)らにより創立、今年で105年を迎えることができました。これもひとえにみなさまのご愛顧とご支援によるものと深く感謝いたしております。
 現在、全国の書店様にて創業105周年記念ブックフェアを順次開催いたしております。ロングセラーから記念復刊まで、さまざまなジャンルの書籍を取り揃えてお待ち申し上げております。お近くの書店様で開催の際にはぜひ、お立ち寄りいただければ幸いです。
 「これからもみなさまとともに、考える愉しさを、いつまでも――」
 今後とも変わらぬお引き立てのほどよろしくお願い申し上げます。106年目の春秋社にもぜひご期待ください。(A)
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□春秋社 メールマガジン□ 毎月1回(月はじめ)配信
発行:株式会社 春秋社
〒101-0021 東京都千代田区外神田2-18-6
ホームページ: https://www.shunjusha.co.jp/
Twitter: https://twitter.com/shunjusha/
web春秋 はるとあき: https://haruaki.shunjusha.co.jp/

◆表示価格はすべて税込です
◆書籍のご注文はお近くの書店か小社ウェブサイトをご利用ください
(TEL:03-3255-9611 FAX:03-3253-1384)
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■バックナンバー
【Vol.053】 https://haruaki.shunjusha.co.jp/posts/7469 (2023年8月1日配信)
【Vol.052】 https://haruaki.shunjusha.co.jp/posts/7411 (2023年7月3日配信)
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・8月31日までに小社に届いた愛読者カードにメールアドレスをご記入いただいた方
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