web春秋 はるとあき

春秋社のwebマガジン

MENU

メールマガジン Vol.086

※HTML版はこちらをご覧ください。
------------------------------------------------
 春秋社 メールマガジン【Vol.086】
   2026年 5月 1日配信
------------------------------------------------
巻頭言

 前略プロフィールというサイトをご存じだろうか。2004年に開始した、いくつかの質問に答える形で個々人のプロフィールページが作成できる、SNSの先駆的存在だ(2016年にサービス終了)。何を隠そう私も利用していた。
 この巻頭言を書くにあたり「前略プロフィール 世代」で調べようものなら、GoogleのAIが「ガラケー全盛期に、厨二病全開の自己紹介をネット上に公開していた、懐かしい黒歴史として知られています」とせせら笑ってくる始末である。私のどんな黒歴史を知っているのかと人格を持たない人工知能に憤怒したい気持ちを抑えつつ、このSNSを知らない人のために前略プロフィール(以下「前略プロフ」)を復元してみると、たとえばこんな具合である。

【HN】
P
【HNの由来】
元素記号
【職業】
編集者
【絡むーちょ】
政治・社会・音楽の書籍に興味あるヒト

……改めて見返すと、この略歴の羅列をどのようにSNSとして運用していたのかがわからない。「ふぁぼ」も「リツイート」も「マイミク」も出始めの世界だ。先史時代の素朴な遺物を見るような、考古学的な気分になる。
 この前略プロフと、2026年現在のSNSとの大きな違いは「交換」の度合いだと思う。今では刺激的なコメントや動画(贈与)に、即座に無数の反応が返ってくる。一方で前略プロフにおける反応とは、級友の意味深な項目更新に「あのカップルは別れたのか」と教室で噂される程度にとどまっていた気がする(ああ、これが黒歴史なのか)。もちろん前略プロフもいじめや個人情報漏洩などの問題をはらんでいたが、一気に何万、何億ものエンゲージを獲得する現代のSNSは、その交換の物量も危険性も桁違いである。
 SNSというのは過激で、白熱するからこそ、多くの反応を獲得し、それで儲けを出している。前略プロフ開設の2年後の2006年に発足したTwitterは、いくら運営に対する不平不満があろうと、「Threadsに乗り換える」と言われようと、Xと名を変え今なお覇権を握っている。それはこのあまりに不安定なプラットフォームが、未曽有の交換を人々に提供し続けているからではないだろうか。
 だから今こそ、SNSを落ち着いて見返す必要があると思う。柄谷行人の「交換様式論」を用いた精緻な分析で、頭に血がのぼりがちな我々に処方箋を差し出す、絶好の新刊がある。ぜひ一読を勧めたい。

【Myリンク】
物江潤 『SNSと交換様式 しらけるという倫理にむけて』 https://www.shunjusha.co.jp/book/b10166229.html

早々(P)

 

------------------------------------
■目次■
▼webマガジン「web春秋 はるとあき」
▼「じんぶん堂」好評連載中!
▼新刊案内(4月刊行)
▼近刊案内(5月刊行予定)
▼重版情報
▼営業部だより


━━━━━━━━━━━━━━━━
☆ webマガジン「web春秋 はるとあき」☆ https://haruaki.shunjusha.co.jp/
━━━━━━━━━━━━━━━━
●新連載●
○社会を癒す「私」になる――マインドフルネスとポリヴェーガル理論が拓くケアのまなざし  井上ウィマラ × 花丘ちぐさ → https://haruaki.shunjusha.co.jp/categories/1154
Teachers主催「マインドフルネス・カレッジ」オンライン講座における井上ウィマラ氏 × 花丘ちぐさ氏の対談をもとに加筆修正・再構成したものです。
【1】ポリヴェーガル理論で考える安全と仲間(前編)【花丘ちぐさ】 → https://haruaki.shunjusha.co.jp/posts/9506
【2】ポリヴェーガル理論で考える安全と仲間(後編)【花丘ちぐさ】 → https://haruaki.shunjusha.co.jp/posts/9507
【3】ポリヴェーガル理論からマインドフルネスを考える(前編)【井上ウィマラ】 → https://haruaki.shunjusha.co.jp/posts/9530
○言葉の舞台裏 演劇翻訳の悩ましき日常 小田島創志 → https://haruaki.shunjusha.co.jp/categories/1156
演劇翻訳家の「三代目」として生まれ、シェイクスピアの新訳からミュージカル、現代演劇まで数々の舞台を手掛ける気鋭の若手が、演劇翻訳の苦悩と楽しみを綴る。
【第1回】「演劇翻訳」とは、ずばり…… → https://haruaki.shunjusha.co.jp/posts/9546
○坐禅とは何か――『正法眼蔵』「坐禅箴」を身読する  藤田一照、 宮川敬之 → https://haruaki.shunjusha.co.jp/categories/747
〈坐禅〉とはいったい何か。その「意味」と「願い」を語る。刮目の、斬新な坐禅・身体論考。
【第18回】かぎりなく、はかることのできない生命活動 → https://haruaki.shunjusha.co.jp/posts/9582

 

━━━━━━━━━━━━━━━━
★「じんぶん堂」好評連載中!★
━━━━━━━━━━━━━━━━
出版社と朝日新聞社による、“人文書の魅力を発信していくプロジェクト” 「じんぶん堂(powered by 好書好日)」では書籍紹介や読み物など、魅力的な内容をお届けしています。ぜひご覧ください。※木曜日更新(月3回)
◇4月9日 公開◇
家族の多様性について理解するとはどういうことか――『家族生活と親密性の社会学』から学ぶ(前編) → https://book.asahi.com/jinbun/article/16464795
◇4月16日 公開◇
同時代的な家族の変化を捉え直す――『家族生活と親密性の社会学』とともに考えるつながりのゆくえ(後編) → https://book.asahi.com/jinbun/article/16483634
本書が扱う「多様性」「インターセクショナリティ」「個人化」などのキーワードをもとに、監訳者の一人である松木洋人氏が解説する。
書籍はこちらから → 『家族生活と親密性の社会学――つながりの再編を捉えるための視点をひらく』

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★新刊案内(4月刊行)★  https://www.shunjusha.co.jp/search/new.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●『ジョイフル・ウィズダム――すべてを友とする智慧の道』
ヨンゲイ・ミンギュル・リンポチェ、エリック・スワンソン 著 / 三浦 順子 監訳、テルガルジャパン翻訳チーム 訳
四六判/344頁/3,850円
チベット仏教の師が説く、感情を友とし活用する3段階の教え(不安の原因を探る・3つの瞑想を実践する・それらを個人的な問題に応用する)で「不安な時代」を生き抜く。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b10160129.html
------------------------------------
●『曹洞宗の宗旨の真実――『瑩山和尚之法語』を読む』
竹内 弘道 著
A5判/168頁/2,970円
瑩山禅師が曹洞宗の宗旨を在俗の弟子に説示した法語の現代語訳に、禅を「信の仏教」と定義した戦前からの宗旨の誤りの指摘と、瑩山禅師のわかりやすい生涯を載せた意欲作。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b10160127.html
------------------------------------
●『[中世日本宗教史][1]王朝文化の胎動――摂関期~鳥羽院政期』
蓑輪 顕量、菊地 大樹、増記 隆介、高橋 悠介 編
A5判/272頁/3,520円
摂関期~初期院政期を対象とし、その時代の東大寺や、仏像、密教、浄土教、陰陽道などについて今までの宗教史とは違った観点からアプローチを試みる。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b10160132.html

*今月の営業部イチオシ本*
●『抵抗 無関心からの脱却』
サロメ・サケ 著 / 清水 珠代 訳
四六判/216頁/2,420円
なぜ今、極右が世界にはびこるのか。
その脅威に抗うフランス人記者が憎悪と分断のメカニズムを解き明かし、連帯と抵抗への燈を灯す。世界各地で翻訳されているベストセラー。
○解説:大嶋えり子(慶應義塾大学准教授)「知をもって抵抗するために」
○川中だいじ(日本中学生新聞)推薦
「曖昧な態度が「新しいファシズム」に加担したのだ。
主権者よ、沈黙や黙殺のその先に何があるのか――。」
https://www.shunjusha.co.jp/book/b10160133.html

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★近刊案内(2026年5月刊行予定)★  https://www.shunjusha.co.jp/search/next.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●『心とはなにか――仏教の探究に学ぶ〈新装版〉』
竹村 牧男 著
四六判/200頁/2,530円
仏教の歴史は心の探究史。原始仏教・アビダルマの意識から唯識の無意識、大乗の如来蔵、そして日本人特有の心のあり方へと、私たちの心の豊かさを説き明かす。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b10166441.html
------------------------------------
●『えほん ごはんのこころ』
前田 まゆみ 著
B5変判/32頁/2,200円
日々の食卓に、あたたかな想い。ヴィジュアルとやさしい文章で描く、懐かしくも現在進行形の「食」の風景。食文化の源流を訪ねつつ、食材・道具・調理・感謝の心を見つめる。
------------------------------------
●『天海――徳川三代と寛永寺』
水上 文義 著
四六判/240頁/2,750円
家康の神格化(東照大権現)、日本初の一切経の刊行、寛永寺の建立など多彩な活躍で知られる天台宗僧侶・天海。徳川幕府の「黒衣の宰相」として知られるその実像に迫る。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b10166448.html
------------------------------------
●『SNSと交換様式――しらけるという倫理にむけて』
物江 潤 著
四六判/216頁/2,420円
炎上、デマ、ポピュリズム……「不安定こそが正常」である過激なSNS社会において、今われわれに求められる倫理とは何か。柄谷「交換様式論」を用いて根本から考察する。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b10166229.html
------------------------------------
●『宿命を超えて、自己を超えて〈新版〉』
ヴィクトール・E・フランクル、F・クロイツァー 著 / 山田 邦男、松田 美佳 訳
四六判/216頁/2,640円
苦境に絶望することなく、過剰な自己意識も脱して、人生を切り拓くにはどうしたらよいか。ロゴセラピーなど、フランクル思想のエッセンスをわかりやすく語った講演・対談集。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b10166228.html
------------------------------------
●『[アジア文芸ライブラリー]シュグデン』
グン・アヨルザナ 著 / 阿比留 美帆 訳
四六判/392頁/3,520円
仏教僧院で起きた不可解な銃撃事件。謎を追う警察犬トレーナーのセルジャムツは、故人の親友サマンダと出会い事件の謎を追ううち、禁忌とされた信仰へとたどり着く。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b10166230.html
------------------------------------
●『州首相になったヨーガ僧――ヨーギー・アーディティヤナートの半生』
シャンタヌ・グプタ 著 / 加藤 隆宏 訳
四六判/336頁/3,630円
インドの州知事でありヨーガ僧の活動を描いた伝記。多民族多宗教国家である現在のインドにおけるヒンドゥー・ナショナリズムや政教分離の問題を知ることもできる格好の書。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b10166218.html

(※刊行時期は変更となる場合がございます。)

 

━━━━━━━━━━━━━━━━
☆重版情報☆ https://www.shunjusha.co.jp/news/nc3760.html
━━━━━━━━━━━━━━━━
●『[現代哲学への招待]生まれながらのサイボーグ――心・テクノロジー・知能の未来』
アンディ・クラーク 著 / 呉羽 真、 久木田 水生、 西尾 香苗 訳 / 丹治 信春 監修
四六判/2015年7月刊/4,620円【4刷】
〈現代哲学への招待 Great Works〉
コンピューターや人工知能、携帯電話をはじめとするメディア、脳や身体に直接接続され、あるいは埋めこまれるデバイスなど、最新テクノロジーと人間の融合の現在地と未来像を、多彩な具体例をあげながら探究。そこから見える「拡張する心」「拡張する身体」の可能性と危険性、そして「人間の本質」に肉薄する、まさに現代人のための哲学。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b489986.html

 

━━━━━━━━━━━━━━━━
□営業部だより□
━━━━━━━━━━━━━━━━
シリーズ アジア文芸ライブラリー『シュグデン』(グン・アヨルザナ 著)の訳者 阿比留 美帆氏が、本書に推薦文を寄せた直木賞作家の万城目 学氏と刊行記念トークイベントを行います! 詳細は以下の通り。

「はじめて私たちの前に現れたモンゴル現代文学」(登壇者:阿比留 美帆、万城目 学)
◇日時:5月30日(土)19:00~20:30
◇場所:本と珈琲の店UNITE(ユニテ)|東京都三鷹市
※来店でのご参加はこちら https://unite-books.shop/items/69e848088fe7182191da875f から
 オンラインでのご参加はこちら https://unite-books.shop/items/69e886bbfe1d6b95589b25f3 から

現代モンゴルの長編小説として初の邦訳となる 『シュグデン』 は、仏教僧院で起きた不可解な銃撃事件の謎を追うというストーリーで、分断された民族の歴史の記憶とアイデンティティを問いなおす壮大な物語です。
みなさまのご参加を心よりお待ちしております。 (E)

 

━━━━━━━━━━━━━━━━
□春秋社 メールマガジン□ 毎月1回(第1金曜日)配信
発行:株式会社 春秋社
〒101-0021 東京都千代田区外神田2-18-6
ホームページ: https://www.shunjusha.co.jp/
X(旧Twitter): https://x.com/shunjusha
web春秋 はるとあき: https://haruaki.shunjusha.co.jp/
◆表示価格はすべて税込です
◆書籍のご注文はお近くの書店か小社ウェブサイトをご利用ください
(TEL:03-3255-9611 FAX:03-3253-1384)
━━━━━━━━━━━━━━━━
■バックナンバー
【Vol.085】 2026年 4月 3日 配信 → https://haruaki.shunjusha.co.jp/posts/9584
【Vol.084】 2026年 3月 6日 配信 → https://haruaki.shunjusha.co.jp/posts/9527
━━━━━━━━━━━━━━━━
※このメールは、以下の方に配信しております
・小社ウェブサイトほかにて4月28日までにメールアドレスをご登録いただいた方
・4月28日までに小社に届いた愛読者カードにメールアドレスをご記入いただいた方
・小社ウェブサイトにて書籍をお買い上げいただき、メールアドレスをご記入いただいた方

◇メールマガジンの配信停止は → https://www.shunjusha.co.jp/company/cc1920.html

タグ

バックナンバー

キーワードから探す

ランキング

お知らせ

  1. 春秋社ホームページ
  2. web連載から単行本になりました
閉じる