メールマガジン Vol.050
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春秋社 メールマガジン【Vol.050】
2023年 5月 1日配信
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巻頭言!
現代の日本で一番有名な歴史上の禅僧は誰でしょう? いや、禅に興味があって、いろいろ本も読んでるような人ならば、臨済とか、道元とか、趙州とか、白隠とか、黄檗とか、沢庵とか、何人でも出てくると思うのですよ。しかし「別に禅にも仏教にも興味はない」という人が知ってるような禅僧といえば、……そう、それは一休さん!
もちろんそこに国民的アニメ『一休さん』(東映動画)の影響があることは言うまでもなく、ちょっと調べてみたら、1975年から7年間、296話も放送され、関西地区では40%を超える視聴率をとったこともあったとか。坊主頭でくりくりお目々の可愛い小坊主・一休さんが頓知で難題を解決していく痛快さとほのぼのした雰囲気は、私もよくおぼえています(歳がバレますね)。
しかし、それはアニメでのお話。室町時代に生きた本当の一休さんの肖像画(頂相)を見れば、手入れをしていない坊主頭に毛が雑草のように生え、鼻下と顎にも無精髭、スケベっぽく八の字に下がる両眉に、胡乱げな横睨みの目は、可愛い小坊主とは似ても似つかない偏屈そうな老人の顔であります。伝えられるところによれば、飲酒や肉食、女犯も男色もお構いなしだったなどといいますが、それが本当だとすれば、いかにも優等生のアニメの一休さんとは正反対ではないですか。
結局のところ、一休さんは型破りな風狂の僧なのか、ただの破戒僧なのか、それともイメージに反して実は真面目で清廉な僧だったのか。その言葉にも隠れた意味があるのか、文字通りに受けとるべきなのか。一休の代表作は『狂雲集』ですが、これにも過激な漢詩がたくさん収められていて、「美人の淫水を吸う」なんてのは、ちょっと題名を書くのも躊躇してしまいます。
この『狂雲集』の解釈を見直し、新しい一休像を提示しようというのが 芳澤勝弘 先生の『一休宗純『狂雲集』再考』です。『狂雲集』から漢詩を300首ほどを厳選して現代語訳と語注を付したものですが、注目すべきはその補注。これまでの一休解釈を精査し、一休晩年の愛人ともいわれる森女の正体を探り、一休を聖人化するような解釈には根拠をもって否を突きつけ、少しでも本当の一休に迫ろうとする着実な歩みの結晶です。重厚な本ではありますが、ぜひご注目いただければと思います。(K2)
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■目次■
▼webマガジン「web春秋 はるとあき」
▼「じんぶん堂」好評連載中!
▼新刊案内(4月刊行)
▼近刊案内(5月刊行予定)
▼編集後記
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☆webマガジン「web春秋 はるとあき」☆ https://haruaki.shunjusha.co.jp
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○新連載○
○「カントの誤診――『純粋理性批判』を掘り崩す」 永井 均
近代哲学を確立したカント『純粋理性批判』を徹底的に読解し、批判することで、近代哲学を解体し、独在論哲学を賞揚する試み。
【第1回】 → https://haruaki.shunjusha.co.jp/posts/7138
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●最終回●
〇「名なしのカメはAIの舞に興味がない」 田中 真知
生きているとは夢にほかならない。……シュウイチはそんなことを考えた。
【第20回】夢のあとに → https://haruaki.shunjusha.co.jp/posts/7183
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★「じんぶん堂」好評連載中!★
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出版社と朝日新聞社による、“人文書の魅力を発信していくプロジェクト” 「じんぶん堂(powered by 好書好日)」では書籍紹介や読み物など、魅力的な内容をお届けしています。ぜひご覧ください。※毎週木曜日更新(月3回)
◇4月13日 公開◇
“後戸”から“部屋”へ――神秘の動態に迫る: 山本ひろ子『摩多羅神』の哄笑(前編)→
https://book.asahi.com/jinbun/article/14871980
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◇4月20日 公開◇
“狂乱の歌舞”の予兆――鼓の音が聞こえたら:山本ひろ子『摩多羅神』の哄笑(後編)→
https://book.asahi.com/jinbun/article/14872055
→ 書籍はこちらから『摩多羅神――我らいかなる縁ありて』https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393291337.html
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☆新刊案内(4月刊行)☆ https://www.shunjusha.co.jp/search/new.html
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●一休宗純『狂雲集』再考
芳澤 勝弘 著
A5判/672頁/12,100円
一休の代表作であり、破天荒な生き様のあらわれた『狂雲集』より300首ほど選出し現代語訳と語注を施す。従来の解釈を覆す独自の理解から新たな一休像を示す画期的大作。
https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393141182.html
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●佛心[創業105周年記念復刊]
朝比奈 宗源 著
四六判/184頁/2,090円
名説法で知られた著者が、仏教の肝要たる「仏心」を禅の立場から、平易な言葉で懇切丁寧に説き明かした珠玉の名著の新版。仏教や禅の初心者には、まさに恰好の入門書。〈新装版〉
https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393144442.html
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●人はみな仏である[創業105周年記念復刊]
朝比奈 宗源 著
四六判/232頁/2,200円
白隠禅師の有名な「坐禅和讃」を素材に「仏心」に休らう人の生き方を語る法話集。禅機に溢れた老師の語録である「一転語」を付す。版を重ね続けたロングセラー。〈新装版〉
https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393144435.html
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●九十一歳のエチュード ――楽しかったモンテ・カルロの一夜
二宮 真弓 著
四六判/232頁/1,980円
「ずっこけマユミン」の最新「俳句エッセイ」。昭和時代の懐かしい光景、ささやかな日常風景からコロナ、ウクライナ問題まで、好奇心全開、縦横無尽に語る老熟の眼差し。
https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393436622.html
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●〔春秋社音楽学叢書〕音楽と心の科学史 ――音楽学と心理学が交差するとき
西田 紘子 / 小寺 未知留 編著
四六判/264 頁/3,080円
音楽理論と音楽美学は心理学の知見をどのように参照してきたか。物理学や生理学、心理学が飛躍的に発展した19世紀後半以降の音楽学史を心理学との学際的な見地から探る。
https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393930458.html
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●鍵盤ハーモニカの本
南川 朱生(ピアノニマス)著
四六判/312頁/2,090円
鍵盤ハーモニカの製造の歴史や教育現場での受容、構造の秘密、〈誕生〉の瞬間など、様々なシーンを豊富な資料とともに巡る。楽器愛に満ちた、読んで、見て、楽しい一冊。
https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393935286.html
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★近刊案内(5月刊行予定)★ https://www.shunjusha.co.jp/search/next.html
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『日蓮学の現代』
浜島 典彦 編著
A5判/608頁/14,300円
日蓮が身延山に入山して750年を迎えるにあたり、幾多の法難を乗り越え教化に努めた日蓮の精神と教えを、幅広い分野の専門家が現代の視点をふまえて再び問い直す論文集。
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〔シリーズ思想としてのインド仏教〕『中道を生きる ――中観』
計良 龍成 著
四六判/272頁/2,420円
従来の空思想からではなく、実践にも関係する有無の両極端を離れた中道の視点から、予備知識・思想史・縁起と中道の思想の構成でインド中観思想を論じた画期的な解説書。
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『賭ける仏教 ――出家の本懐を問う6つの対話』[創業105周年記念復刊]
南 直哉 著
四六判/288頁/2,200円
禅の鬼才が得度以来紡ぎだしてきた思索と修行の実体験から語る、仏教と禅の核心。道元禅師に倣い釈尊本来の役立つ仏教を復活させるための構想をも示すスリリングな対話篇。
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『悲嘆とケアの神話論 ――須佐之男と大国主』
鎌田 東二 著
四六判/280頁/2,420円
引き裂かれ呻吟する古の神々。須佐之男の流浪、大国主の「国譲り」、その悲哀の物語詩に、癒しとケアの未来を展望する。吟遊文化と学術を切り結び現代に拓く、渾身の書。
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〔自由と愛の人智学 2〕『キリスト衝動 聖杯の探求』
ルドルフ・シュタイナー 著 高橋 巖 訳
四六判/264頁/3,080円
ゴルゴタの秘蹟が人類の進化に及ぼす影響はどう認識されるのか。キリスト衝動(大切な霊的衝動の認識)を理解するための人智学的アプローチ。シュタイナーの最重要講演集。
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『掬われる声、語られる芸 ――小沢昭一と『ドキュメント 日本の放浪芸』』
鈴木 聖子 著
四六判/328頁/2,750円
萬歳・ごぜ唄・猿回しをはじめとした稀少な音楽芸能から節談説教、さらにストリップに至るまで、「放浪芸」を追いながら自身の芸と向き合い続けてきた小沢昭一の姿に迫る。
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『太極拳養生法』[創業105周年記念復刊]
帯津 良一 / 趙 耀輝 著
A5判/192頁/2,200円
ホリスティック医学の大家・帯津良一と太極拳の名手・趙耀輝の共著。「攻めの養生法」として太極拳の実践を説いた画期的な書。太極拳の動きを図解入りで分かりやすく解説。
(※刊行時期は変更となる場合がございます。)
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□編集後記□
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ゴールデンウィーク、いかがお過ごしでしょうか。今年は遠出している方も多いかもしれません。気温が高くなりそうですので、くれぐれも熱中症にはお気をつけください。
さてこのたび、2023年度版の小社図書目録ができあがりました。2023年1月までに刊行した書籍と楽譜の書誌情報、全国主要常備店(小社の出版物を常時取り揃えている店舗)一覧、さらに電子書籍の一覧を掲載しています。
ご希望の方には無料で進呈いたします。お電話(営業部TEL 03-3255-9611)または、小社ウェブサイト お問い合わせフォーム よりお申し込みください。
このメールマガジンもおかげさまで50号を迎えることができました。これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。(A)
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■バックナンバー
【Vol.048】https://haruaki.shunjusha.co.jp/posts/7092(2023年3月3日 配信)
【Vol.049】https://haruaki.shunjusha.co.jp/posts/7152(2023年4月1日 配信)
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