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メールマガジン Vol.080

※HTML版はこちらをご覧ください。
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 春秋社 メールマガジン【Vol.080】
   2025年 11月 7日配信
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巻頭言
 壮年の美学者は教壇を去った。深い印象を残して。その年の美学概論の年間テーマは「美学と芸術学」で、シュタイナーの芸術論も含まれていた(建築における内部空間論)。最終回は、ドイツ・バロックの詩人アンゲルス・シレジウスの一節で締めくくられた――「ゴルゴタの十字架はあなたを悪から解き放すことはできない。あなたの内に十字架が打ち立てられないかぎり」。美学の原点として…。
 以来、半世紀以上にわたってシュタイナー研究に専念された。高橋巖(1928-2024) https://www.shunjusha.co.jp/author/a207070.html 。市井でなされたテキスト読解の勉強会はつねに好学の有志でいっぱいだったという。シュタイナーの邦訳と紹介はこうしてなされた。
          *
 ルドルフ・シュタイナー(1861-1925) https://www.shunjusha.co.jp/author/a207723.html 。没後100年の歳月が流れた。シュタイナーが予見した現実世界が眼前にある。繰り返し問われてきた唯物主義横行の行方と人間精神の危機と克服。問いは続く――「どうすれば自己認識の深化は達成できるのか」。かくて魂(精神)の修行として人智学が希求される。
 シュタイナー人智学の実践的表明を成すのは、戯曲という表現様式を駆使した『神秘劇』四部作だろう。『伝授の門』(1910)、『魂の試練』(1911)、『境域の守護霊』(1912)、『魂の目覚め』(1913)の連作が、此岸(地上生活)と彼岸(霊界)を往還する魂(内面)のありようを真摯に紡いでいく。厳しい試練と修行を経て、新しい自分に目覚めるまでの旅路として描かれる。その劇進行は巧まずして時空を駆け巡る。
 さまざまな個性(登場人物)の発する言葉のリアリティが全編を被う。まさしく霊的認識の力を生きた現実のものとして描く壮大な内面のドラマといえるだろう。もとより、上演を意図して書かれたとはいえ、ドイツ演劇史伝統のレーゼドラマ(読む劇作)としても有用なのはいうまでもない。ともあれ、各場面のせりふのみならず、ドラマの進行・変転のディテールを自在にイメージすることは、なにより瞑想行為につながる人智学の重要な契機となるにちがいない。人智学が求める生きた読書体験として。
          *
 「人はみな霊的な生き方(体験)をしています。ただ気づかないでいるだけなのです。そこを共有できるかどうかです…」(高橋巖)。
 シュタイナー思想の本質的・総合的な主題と変奏をダイナミックに奏でる現代神秘劇の傑作を、とくとご堪能ください。 (麦)
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■目次■
▼webマガジン「web春秋 はるとあき」
▼「じんぶん堂」好評連載中!
▼新刊案内(10月刊行)
▼近刊案内(11月刊行予定)
▼書評・重版情報
▼営業部だより
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☆ webマガジン「web春秋 はるとあき」☆ https://haruaki.shunjusha.co.jp/
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●新連載●
○ 宇宙時代と大乗仏教  田中公明
【第1回】宇宙時代と仏教 → https://haruaki.shunjusha.co.jp/posts/9191
【第2回】他土仏信仰の成立―大乗仏教は地球外知的生命体を認める― → https://haruaki.shunjusha.co.jp/posts/9192
●好評連載●
○スカートの裾を投げて――女性シンガーソングライターとポストフェミニズム 星川彩 → https://haruaki.shunjusha.co.jp/categories/1142
自身もシンガーソングライターである著者が、日本の女性歌手の主体性や彼女らをめぐるジェンダーロールについて考えてゆく。
【第2回】肉のドレスをまとった愛→ https://haruaki.shunjusha.co.jp/posts/9201
○ 鋼鉄の講義室 メタル文化学入門  齋藤 桂 → https://haruaki.shunjusha.co.jp/categories/1126
様々な角度からヘヴィー・メタルとそれをとりまく文化を捉える試み。「メタル文化学入門」の開講!
【第6回】鋼鉄の図書室――メタルで文学を読むI → https://haruaki.shunjusha.co.jp/posts/9225

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★「じんぶん堂」好評連載中!★
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出版社と朝日新聞社による、“人文書の魅力を発信していくプロジェクト” 「じんぶん堂(powered by 好書好日)」では書籍紹介や読み物など、魅力的な内容をお届けしています。ぜひご覧ください。※木曜日更新(月3回)

◇10月2日 公開◇
ゴータマ・ブッダや直弟子たちの最古の仏教――パーリ語初期韻文経典よりみて(上) → https://book.asahi.com/jinbun/article/16046151
◇10月16日 公開◇
仏教史にみる最初の大きな展開――パーリ語初期韻文経典よりみて(下) → https://book.asahi.com/jinbun/article/16059929
パーリ語初期韻文経典からみた最古の仏教からその後の展開について語る。
書籍はこちらから → 『パーリ語初期韻文経典にみる 最古の仏教』 https://www.shunjusha.co.jp/book/b665070.html

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★新刊案内(10月刊行)★  https://www.shunjusha.co.jp/search/new.html
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●『仏教する日本I 見えるものと見えざるもの』
松岡 正剛、福家 俊彦、末木 文美士 著
四六判/336頁/2,750円
日常の世界〈顕〉と神仏の世界〈冥〉の関係や最澄の大乗戒、草木成仏説、鎌倉仏教の見直しなど、仏教を通して日本の多様性を語るための空前絶後の仏教講義・前編。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b665065.html
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●『アート・オブ・リビング――生きるということ』
ティク・ナット・ハン 著 / 池田 久代 訳
四六判/288頁/2,420円
生とは何か、死とは何か、死後に何が起きるか。まるで自らの死を予感していたような鋭利な考察を展開。「マインドフルに生きる技法」の精髄を説いた晩年の師の思想の高み。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b667721.html
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●『お坊さんになりたかった哲学者と哲学者になりたかったお坊さん「有時」を遊ぶ』
藤田 一照、中村 昇 著
四六判/288頁/2,530円
『正法眼蔵』で特に関心を集めてきた「有時」の巻について曹洞宗僧侶と哲学者が対談。第1部では『正法眼蔵』との出会いなどを語り、第2部では実際に「有時」の巻を読解。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b667729.html
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●『遊子録――続・日本遊歩録』
佐子 武 著
A5判/288頁/2,200円
気の向くままに旅に出て、北へ南へさまよえば、今は寂れた宿場町、人に知られぬ祭の中にひそかに息づくこの国の姿。カラーとモノクロ多数の写真と共に記録する本当の日本。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b667724.html
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●『[春秋社音楽学叢書]言葉を奏で、音楽を読む――世紀転換期の〈フランス・オペラ〉をめぐって』
林 信蔵、中村 翠、川上 啓太郎 編著
四六判/296頁/3,300円
文学者と作曲家が直接コラボレーションする際、どのような創造性が生まれるのか。作家ゾラのオペラ共作を中心に、いかに「フランス的な音楽劇」が創造されたかを描き出す。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b667732.html
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♪楽譜〈新装版〉♪ 計1点

●『ヘンデル集〈新装版〉』
井口 基成 編集・校訂
菊倍判/152頁/2,530円
組曲集(11曲)
 第1番 イ長調 HWV 426
 第3番 ニ短調 HWV 428
 第4番 ホ短調 HWV 429
 第5番 ホ長調〔調子のよいかじ屋〕 HWV 430
 第6番 嬰ヘ短調 HWV 431
 第7番 ト短調 HWV 432
 第9番 ト短調 HWV 439
 第10番 ニ短調 HWV 436
 第11番 ニ短調 HWV 437
 第14番 ト長調 HWV 441
 第16番 ト短調 HWV 452
3つの練習曲
 1)前奏曲、アリアと変奏曲 HWV 434
 2)メヌエット HWV 434
 3)シャコンヌと変奏曲 HWV 435
シャコンヌと変奏曲 ト長調 HWV 442
幻想曲 ハ長調 HWV 490
フーガ ト短調 HWV 605
https://www.shunjusha.co.jp/book/b668292.html

*今月の営業部イチオシ本*
●『[アジア文芸ライブラリー]彷徨――あなたが選ぶ赤い靴の冒険』
インタン・パラマディタ 著 / 太田 りべか 訳
四六判/612頁/4,400円

作家・松田青子さん推薦!
この閉塞感から逃げ出したい。そんなときに出会ったのが、悪魔がくれた赤い靴だった。物語の展開はあなたが決める、ゲームブック形式の長編。インドネシアのフェミニズムの旗手による移動と境界をめぐる傑作。英国PEN翻訳賞受賞作。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b667737.html

『彷徨』刊行記念! インタン・パラマディタさんインタビュー 国境を越えたフェミニズムの連帯のために
【前編】 https://haruaki.shunjusha.co.jp/posts/9168 【後編】 https://haruaki.shunjusha.co.jp/posts/9169

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★近刊案内(11月刊行予定)★  https://www.shunjusha.co.jp/search/next.html
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●『「憲法十七条」を読みなおす』
石井 公成 著
四六判/256頁/2,750円
今まで見過ごされてきた日本風表現の変格語法、仏教経論の典拠、『日本書紀』との関係に注目して、聖徳太子の作成した「憲法十七条」の正しい読み方を明らかにする画期的書。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b10149664.html
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●『神秘劇』
ルドルフ・シュタイナー 著 / 高橋 巖 訳 / 飯塚 立人 編
四六判/752頁/8,580円
シュタイナー思想のエッセンスが集約された壮大な霊学ドラマ。人類の精神的発展を「生きた現実の体験」として描きつつ、輪廻転生とカルマの法則の秘儀的展開を克明に綴る。
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●『痛みからの解放――トラウマによる慢性痛を癒す内なる力との出会い』
ピーター・A・ラヴィーン、マギー・フィリップス 著 / 花丘 ちぐさ 監訳、志村 秀実 訳
四六判/288頁/3,080円
ストレス・トラウマ由来の終わらない痛みに。身体を癒しの中心に据え、未解決の過去に働きかけることで、真の回復力を取り戻し、永続的な解放へと導く多次元的アプローチ。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b10149668.html
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●『性格のタイプ――自己発見のためのエニアグラム〈新装版〉』
ドン・リチャード・リソ、 ラス・ハドソン 著 / 橋村 令助 訳
四六判/672頁/8,250円
自分を知るための地図――体系的エニアグラム論。人間を心の奥底からつき動かしている9つの性格タイプをあらゆる角度から解明した人間理解と自己超越のための基本図書。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b10149670.html
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●『意味への意志〈新装版〉』
ヴィクトール・E・フランクル 著 / 山田 邦男 監訳
四六判/240頁/2,750円
身体にも心理にも還元されえない“人間精神”の本質を論じた「意味への意志」「時間と責任」「ロゴスと実存」「科学の多元論と人間の統一性」の4つの重要論文を収録。
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●『弁天さまの贈りもの――小田まゆみ自伝』
小田 まゆみ 著 / 黒田 和子 訳
A5判/210頁/2,970円
ハワイを拠点に活躍する画家の自伝。うつくしい女神像のタンカ作品26点も収録。戦時下の幼少期を経て、アーティストとして平和活動にも身を投じた、その創造的半生とは。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b10149675.html

(※刊行時期は変更となる場合がございます。)

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☆書評・重版情報☆ https://www.shunjusha.co.jp/news/
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○東京新聞10/25・中日新聞10/26にて『サティとドビュッシー』が紹介されました
2025年10月25日の東京新聞(翌26日の中日新聞も同内容)にて、 青柳いづみこ著 『サティとドビュッシー――先駆者はどちらか』 https://www.shunjusha.co.jp/book/b663901.html の書評が掲載されました。
評者は、慶應義塾大学教授の小倉孝誠氏です。
「本書は2人の生と芸術を交叉(こうさ)させながら、音楽のみならず文学、バレエ、演劇、絵画の流れも絡めて、当時のパリの文化空間をあざやかに再現してみせる。」

♪重版情報♪ https://www.shunjusha.co.jp/news/nc3760.html
●『フランクル回想録――20世紀を生きて〈新装版〉』
ヴィクトール・E・フランクル 著 / 山田 邦男 訳
四六判/2024年9月刊/定価2,530円【2刷】
愛する者の死にうちひしがれながらも、生きる意味を求め続けたヴィクトール・E・フランクル、90年の生涯。『夜と霧』『それでも人生にイエスと言う』では語らなかった自らの悲しみをもユーモアにつつんで綴った唯一の自伝。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b651142.html
☆NHK Eテレ「シリーズ ヴィクトール・フランクル」アンコール放送中!
2024年4月~9月に放送され反響を呼んだ、 「NHK『こころの時代~宗教・人生』ヴィクトール・フランクル それでも人生には意味がある」が、10月26日(日)よりアンコール放送(本放送:毎月第4日曜AM5時~、再放送:翌週土曜AM1時~)されております。
小社の シリーズV.E.フランクルの本も、この機会にぜひ、お手に取ってみてください。
https://www.shunjusha.co.jp/search/s14338.html

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□営業部だより□
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 今般弊社は 平川彰の生誕110周年という節目に際し、氏の著作集全17巻を オンデマンド版 https://www.shunjusha.co.jp/search/s19278.html として復刊する運びとなった。私が入社した時点で多くの巻が品切れていたこと、その後も折に触れて読者の方々から本作の内容や在庫に関する問い合わせを受けていたことを思い返すと、非常に感慨深いものがある。
 本著作集は主に”法と縁起”を中心とする仏教思想の研究(1~8巻)と、文献資料の分析を細やかに成した戒律の研究(9巻~17巻)の二つに大別される。特に『初期大乗仏教の研究』(3・4巻)『律蔵の研究』(9・10巻)『比丘尼律の研究』(13巻)などが代表作の呼び声が高い。
 刊行当時にコメントを寄せた当時の研究者の面々も錚々たる顔ぶれが並ぶ。「著作集発刊を慶ぶ」(中村元)、「仏教学的思惟の最高峰」(長尾雅人)、「仏教研究の金字塔」(梶山雄一)、「創意あふれる偉業の集成」(高崎直道)…。
 著者は本集を発刊するにあたり、「(東京大学の)卒業論文に『阿含の中核思想の研究』という、今から考えるとかなり大それた題目の論文を提出して学部を卒業した。論文の内容は勿論稚拙なものであったが、しかし私がそこで探求したいと考えたことは、釈迦の悟った思想は何であったか、そしてそれは如何なる方法で取り出すことができるかという問題であった。」と述べている。原著の刊行から四半世紀以上が経過し、最新の研究成果によって本集の内容が更新されたものもあるが、その根底にある思想は今持って普遍的な視座を持ち合わせているように思えてならない。
 既に第一線で活躍されている研究者の方々や、これから仏教思想を学ぼうとする若い読者の皆様にも是非この機会に本集を手にとっていただき、各々の研究や理解が一層充実したものになるように願ってやまない。お買い求めは全国の書店様、ネット書店様、弊社公式HPにて。 (鼓)
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□春秋社 メールマガジン□ 毎月1回(第1金曜日)配信
発行:株式会社 春秋社
〒101-0021 東京都千代田区外神田2-18-6
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(TEL:03-3255-9611 FAX:03-3253-1384)
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■バックナンバー
【Vol.079】 2025年 10月 3日 配信 → https://haruaki.shunjusha.co.jp/posts/9205
【Vol.078】 2025年 9月 5日 配信 → https://haruaki.shunjusha.co.jp/posts/9172
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