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メールマガジン Vol.083

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 春秋社 メールマガジン【Vol.083】
   2026年 2月 6日配信
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「現にあるものをぶち壊すのが私の職業です」。

官憲に職業を問われるとこう答えたのは無政府主義者の金子文子(1903-1926)。文子は、父が母を入籍させなかったために無戸籍児として生まれ、そのために学校に入れず教育の代わりに虐待を受けて育った。そして日本の植民地下にあった朝鮮に渡り、高利貸しであった祖母に預けられたがそこでも壮絶な虐待を受けた。13歳で自殺を考えたが思いとどまり、東京に出て苦学生として生きた。運命の相手と言える朴烈(パク・ヨル)と出会い、アナキスト、ニヒリストとして活動を始める。

1923年、関東大震災後の混乱のなか、皇太子暗殺を企てたとして、朴烈と共に大逆罪で起訴される。韓服を着て大審院に出廷し、死刑判決に万歳を唱えた。のちに無期刑に減刑されたがその知らせを破り棄て、1926年、獄中で自死した。

100年前に23歳の若さでこの世を去った彼女の生涯を描いた映画『金子文子 何が私をこうさせたか』が渋谷・ユーロスペースほかで全国公開される。監督はピンク映画のベテランとしても知られる浜野佐知、そして主演の文子を菜葉菜が、朴烈を小林且弥が演じる。すでにニューヨーク国際映画賞とインド・ドバイ国際映画祭でそれぞれ五冠を達成し、浜野のディレクションと菜葉菜の演技は高く評価されている。

文子が獄中で著した回想は、没後5年が経過した1931年に「金子ふみ子」名義で 『何が私をかうさせたか : 金子ふみ子獄中手記』 として春秋社より刊行された。没後百年を迎えるこのたび、文子の強烈な生涯を物語るような装釘で新装版として復刊する。

そこには、「百年の時を超えて、胸ぐらを掴まれる。あなたの生きざまが、まなざしが、今も私ごと、世界を激しく貫いている」という、高島鈴氏の推薦文が寄せられている。高島は22歳で文子と出会い、アナーカ・フェミニストになったという。そして「とにかくフェミニストとして、国家を含むあらゆる権力を否定しない限り男性中心主義社会の終焉はないと思った」と語る(『布団の中から蜂起せよ』人文書院、2022年)。

ラディカル(根源的)に国家権力を否定する主張に戸惑いを覚えはするものの、いま起きている現実に目を向ければたとえば、与党間の政策協定に国旗損壊罪の制定や緊急事態条項、スパイ防止法など国家権力を増強させようとする政策が目立つ。それが「本邦初の女性首相」によって行われているという――そしてその対抗勢力の中心も高齢男性によって構成されているという二重の――現実をみると高島の語りも説得力を帯びてくる。(ら)

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■目次■
▼webマガジン「web春秋 はるとあき」
▼「じんぶん堂」好評連載中!
▼新刊案内(1月刊行)
▼近刊案内(2月刊行予定)
▼重版情報
▼営業部だより


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☆ webマガジン「web春秋 はるとあき」☆ https://haruaki.shunjusha.co.jp/
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●好評連載●
○スカートの裾を投げて――女性シンガーソングライターとポストフェミニズム  星川彩 → https://haruaki.shunjusha.co.jp/categories/1142
自身もシンガーソングライターである著者が、日本の女性歌手の主体性や彼女らをめぐるジェンダーロールについて考えてゆく。
【第3回】永久には保証されなくなったわたしたち、だからこそ。 → https://haruaki.shunjusha.co.jp/posts/9420
○軽刈田凡平の新しいインド音楽の世界 軽刈田凡平 → https://haruaki.shunjusha.co.jp/categories/1119
いま世界でもっとも面白い音楽シーンをめぐる連載。案内人は新進気鋭のインド音楽ライター、軽刈田凡平(かるかった・ぼんべい)
【第10回】インド産の「洋楽」――英語で歌うインド人 → https://haruaki.shunjusha.co.jp/posts/9402
○宇宙時代と大乗仏教  田中公明 → https://haruaki.shunjusha.co.jp/categories/1149
【第7回】仏は全知全能ではない―仏の三不能について― → https://haruaki.shunjusha.co.jp/posts/9382
【第8回】密教の「蘊・界・処」説―曼荼羅はどのように世界を表現したか?― → https://haruaki.shunjusha.co.jp/posts/9383

 

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★「じんぶん堂」好評連載中!★
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出版社と朝日新聞社による、“人文書の魅力を発信していくプロジェクト” 「じんぶん堂(powered by 好書好日)」では書籍紹介や読み物など、魅力的な内容をお届けしています。ぜひご覧ください。※木曜日更新(月3回)

◇1月29日 公開◇
千日回峰行とはなにか?――光永圓道『千日回峰行を生きる』 → https://book.asahi.com/jinbun/article/16309523
第32回松本清張賞を受賞し、第174回直木賞候補作となった住田祐『白鷺立つ』(文藝春秋)は比叡山延暦寺の千日回峰行を題材としています。千日回峰行とはどういったものなのでしょうか? この行を満行した光永圓道大阿闍梨の著書から紹介。
◎書籍はこちらから → 『千日回峰行を生きる』

◇1月15日 公開◇
「憲法十七条」は民主主義を説いているのか――聖徳太子「憲法十七条」を読みなおす(上) → https://book.asahi.com/jinbun/article/16232757
◇1月23日 公開◇
「憲法十七条」と蘇我馬子――聖徳太子「憲法十七条」を読みなおす(下) → https://book.asahi.com/jinbun/article/16303923
◎書籍はこちらから → 『「憲法十七条」を読みなおす』

 

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★新刊案内(1月刊行)★  https://www.shunjusha.co.jp/search/new.html
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●『この私が死ぬということ――人文死生学の展開』
渡辺 恒夫、小島 和男、新山 喜嗣 編著
四六判/304頁/3,520円
私の死は、死を認識する私自身の消滅であるがゆえに、私には原理的に知り得ないはずだ。この不可能の壁を医学・心理学・哲学といった多彩な視座から突破しようという試み。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b10154117.html
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●『境域の秘密』
ルドルフ・シュタイナー 著 / 高橋 巖、竹腰郁子 訳 / 飯塚 立人 編
四六判/264頁/3,850円
霊的共同体の形成・育成への人智学的視点。どうすれば自己認識の深化は達成できるのか。魂(精神)の修行としてのドラマ『神秘劇』四部作の解読講義(1913年、ミュンヘン)。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b10154116.html
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●『制約されざる人間〈新装版〉』
ヴィクトール・E・フランクル 著 / 山田 邦男 監訳
四六判/272頁/3,300円
人間は遺伝や環境の産物ではない。――あらゆる還元主義・虚無主義を批判し、人間精神の主体性・自立性の回復を訴える、フランクル哲学の本格的展開。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b10154125.html
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●『花と少女の日本文学』
西原 志保 著
四六判/344頁/2,970円
花はいつから、女性のイメージと結びつくようになったのか? 記紀神話や王朝物語から歌舞伎、小説まで、日本文学における花の表象と生殖の関係を考える。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b10154126.html
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●『図表とともに学ぶ 西洋音楽史概説』
村田 千尋 著
A5判/344頁/3,520円
西洋音楽史の全体像を、8つの時代と8つの観点で整理し、4つの軸で通時的に概観。多くの図表と併せて歴史の流れがよくわかる一冊。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b10154120.html
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●『モーツァルトが駆け抜けた時代』
小宮 正安 著
四六判/384頁/3,520円
天才も時代の波に翻弄されていた!? 18世紀ヨーロッパの政治・社会・文化状況に光をあて、モーツァルトが生きた舞台=時代背景を鮮やかに照らし出す。逸話や伝説も検証。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b10149673.html
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●『[春秋社音楽学叢書]接続の絆・切断の夢――音楽文化のなかの〈個〉と〈集団〉』
井手口 彰典 著
四六判/224頁/2,750円
音楽は人と人とをどのように結び合わせ、また切り離すのか。古代神話から21世紀に至るまで多くの事例を多角的に検証し、音楽を通じた「接続/切断」の諸相を暴く。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b10154121.html

*今月の営業部イチオシ本*
●『[アジア文芸ライブラリー]どうせ死ぬなら、最後にミーアヤム』
ブリアン・クリスナ 著 / 西野 恵子 訳
四六判/240頁/2,420円

巨漢で嫌われ者、友だちもいない会社員のアレは37歳の誕生日、24時間後に死ぬことを決めた。最後の一杯を食べるために行きつけの麺屋に行くも、店主は不在。その後も次々に災難が降りかかり、自殺計画はどうしても実行できない。気が付いたら冤罪で留置所に入れられ、そこでマフィアの親玉に気に入られてその右腕になるが、行き着いたスラム街で様々な人と出会ううちにアレの人生に変化が訪れる……。原書は刊行半年で50刷、13万部以上の発行部数を記録し、インドネシアではまれに見る大ヒットとなったヒーリング小説。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b10154128.html

 

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★近刊案内(2026年2月刊行予定)★  https://www.shunjusha.co.jp/search/next.html
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●『インド思想史 上』
吉水 清孝 著
A5判/304頁/3,850円
最新の研究成果を反映したインド思想史の決定版。上にはヴェーダ、初期仏教、アビダルマ、叙事詩、法典、サーンキヤ・ヨーガ、ニヤーヤ・ヴァイシェーシカまでを収録。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b10154122.html
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●『正法眼蔵の参究――自己のゼロ・ポイントに還る』
唐子 正定 著
四六判/312頁/3,850円
「空」のゼロ・ポイントの立場に基づき、『正法眼蔵』の「即心是仏」「三昧王三昧」などの各巻から仏・坐禅・言語・罪障観に関わる部分を論じた、道元禅参究の集大成。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b10154118.html
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●『空海の詩〈新装版〉』
阿部 龍樹 著
四六判/200頁/2,640円
空海は天性の詩人だった。短い書簡から深遠な密教論まで膨大な著作の随所に漢詩が詠われている。彼の詩を読解しつつ、平易な言葉で空海の思想と人間性に迫った斬新な入門書。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b10154802.html
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●『空海の般若心経〈新装版〉』
阿部 龍樹 著
四六判/208頁/2,420円
空海は心経をどのように読み解いたか? 最晩年に自らの密教思想を集大成するテキストとしてなぜ心経を選んだのか? 従来の見方が革命的に変わる空海版「般若心経」の世界。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b10154803.html
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●『神秘的経験の諸相――二十一世紀の研究と展望』
デビッド・B・イエイデン、アンドリュー・B・ニューバーグ 著 / 葛西 賢太、杉岡 良彦、冲永 宜司 訳
四六判/612頁/6,820円
多種多様な神秘的体験を調査し、特徴によって分類、その原因や文化・思想・宗教との関係、生活に対する肯定的・否定的な影響などを包括的に研究した現代の神秘的体験全書。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b10155857.html
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●『野球の美学』
根岸 貴哉 著
四六判/224頁/2,420円
美しいフォーム、芸術的なバッティング、壮麗なグラウンド……なぜ我々は野球に「美しさ」を見出すのか。より豊かで深い野球体験、スポーツ視聴・観戦体験への扉を開く。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b10159026.html
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●『家族生活と親密性の社会学――つながりの再編を捉えるための視点をひらく』
デボラ・チェンバース、パブロ・グラシア 著 / 松木 洋人、永田 夏来 監訳
A5判/336頁/3,520円
LGBTQ+や移民、生殖補助技術など、現代の家族の変化と多様性に注目し、グローバルな視点から実証的データで分析する定評あるテキスト。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b10155860.html
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●『本当の自分に〈気づく〉心理学――超個人的アイデンティティ』
百武 正嗣 著 / 対談 藤田 一照
四六判/232頁/2,200円
「いま・ここ」の気づきから身心を統合するゲシュタルト療法を軸に、「私」のさまざまな層に眠る未完了な問題を解きほぐす。禅との接点、そしてミニ・サトリの可能性とは?
https://www.shunjusha.co.jp/book/b10154119.html
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●『何が私をこうさせたか――金子ふみ子獄中手記〈普及版〉』
金子 ふみ子 著
四六判/344頁/1,870円
大正時代、貧困と虐待に抗して懸命に生き、のちに朝鮮人革命家・朴烈とともに大逆罪に問われ獄中で自死した女性が綴る自らの生涯。高島鈴氏推薦!
https://www.shunjusha.co.jp/book/b10155859.html
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●『贅沢な戯れ――スキップ・センペ、古楽を語る』
スキップ・センペ 著 / 濱田 あや 監訳・訳 / 岡田 宏子 訳
四六判/336頁/3,300円
幅広いレパートリーで21世紀の古楽シーンを牽引してきた俊英スキップ・センペによるエッセイ・対談集。ルネサンスからバッハまで、古楽の魅力を存分に語りつくす。
https://www.shunjusha.co.jp/book/b663869.html

(※刊行時期は変更となる場合がございます。)

 

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☆重版情報☆ https://www.shunjusha.co.jp/news/nc3760.html
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●『それでも人生にイエスと言う』
ヴィクトール・E・フランクル 著 / 山田 邦男、 松田 美佳 訳
四六判/1993年12月刊/1,870円【77刷】
ナチスによる強制収容所の体験として全世界に衝撃を与えた『夜と霧』の著者が、その体験と思索を踏まえてすべての悩める人に「人生を肯定する」ことを訴えた感動の講演集。
●本書は電子版もございます
https://www.shunjusha.co.jp/book/b490291.html

 

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□営業部だより□
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2月3日(火) 11:30-13:00に放送された文化放送「大竹まこと ゴールデンラジオ!」に、 ジャック・エリュール 著、 神田順子・ 河越宏一 訳 『プロパガンダ』 の解説エッセイを書いたフリーライターの武田砂鉄氏が出演し、番組コーナー【もっと言いたい放題】にて、「選挙直前、プロパガンダを考える」として、本書の一節を引用・紹介されました。
著者エリュールは、社会学のみならず、心理学からもプロパガンダという現象・技術にアプローチし、どのように/どのような個人が国家や体制に奉仕していくのか、プロパガンダの機能について分類しわかりやすく解きました。
第51回衆議院議員総選挙を直前に控える今、私たちが氾濫する情報の中からなにを選びとるべきか。本書はそれを考えるためのヒントに満ちた一冊です。 (E)
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□春秋社 メールマガジン□ 毎月1回(第1金曜日)配信
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■バックナンバー
【Vol.082】 2026年 1月 2日 配信 → https://haruaki.shunjusha.co.jp/posts/9434
【Vol.081】 2025年 12月 5日 配信 → https://haruaki.shunjusha.co.jp/posts/9430
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