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メールマガジン Vol.072

※HTML版はこちらをご覧ください。
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 春秋社 メールマガジン【Vol.072】
   2025年 3月 7日配信
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 巻頭言

3月になり、少しずつ寒さも和らぎ、そろそろ卒業式といったシーズンでしょうか。そうした折り目には『旅立ちの日に』に代表される「卒業ソング」を、街の至る所で耳にします。そういったシーンは、ふだん実技科目のひとつにすぎない「音楽」や、「音楽室」といったトポスがとつぜん脚光を浴びるタイミングでもあります。

ときに「学校の音楽の授業」には、さまざまな「ふしぎ」が潜んでいるものです。なぜこの教室には眉間に皺を寄せた大作曲家の肖像画があるのか、なぜ鍵盤ハーモニカなる楽器を強制的に購入させられるのか、なぜわたしは公開処刑のように、皆の前で歌い奏でなくてはならないのか、なぜ合唱コンクールなるイベントで、「男子ちゃんと歌ってよ!」という怒号が飛び交うのか。

そうした違和感の根源には、「学校の音楽の授業」の特殊性があると思います。たとえ「ちゃんと歌って」と怒られる彼らも、一方カラオケなどでは、楽しく歌っていたりします。でも、あの「音楽室」の独特な雰囲気の中では、気恥ずかしさやを感じて一歩引いてしまう……その気持ちはわからなくもないです。

だがしかし! 大人になってから「合唱コンクール」で歌ったあの曲を思い出して涙している人も少なからずいて、これもひとつの事実でしょう。であれば、あの、なんとも言い難い、少しむず痒しくなるような「学校の音楽」の根源に横たわっているものの正体こそ気になります。我々の「背筋を伸ばさせる」、あの空気感とはーー

その問いに、いま一度、立ち返って考える、うってつけの本がございます。春秋社音楽学叢書シリーズ第7弾、『音楽で「良い子」は育てられるのか 「情操」から読み解く音楽教育史』(山本耕平著)です。この本は、日本の音楽教育が長らく大切にしてきた思想と、そしてその課題を、真っ向から真面目に語った、類例のない一冊です。音楽教育の「これまで」を知り、「これから」を考える、刮目の書。ぜひ手に取ってみていただければと存じます。
(P)
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■目次■
▼「じんぶん堂」好評連載中!
▼新刊案内(2月刊行)
▼近刊案内(3月刊行予定)
▼書評・重版情報
▼営業部だより

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★「じんぶん堂」好評連載中!★
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出版社と朝日新聞社による、“人文書の魅力を発信していくプロジェクト” 「じんぶん堂(powered by 好書好日)」では書籍紹介や読み物など、魅力的な内容をお届けしています。ぜひご覧ください。※毎週木曜日更新(月3回)

◇2月6日 公開◇
インドネシア発の怪奇幻想文学『美は傷』が描く百年の歴史(上) → https://book.asahi.com/jinbun/article/15607116
◇2月20日 公開◇
インドネシア発の怪奇幻想文学『美は傷』が描く百年の歴史(下) → https://book.asahi.com/jinbun/article/15625613
インドネシアを代表する作家 エカ・クルニアワン 著『美は傷』の翻訳を手掛けた 太田りべか氏による、本書が描くインドネシアの近現代と、日本語版復刊までの経緯を記した「訳者あとがき」の全文を二回にわたって掲載する。
書籍はこちらから → 『[アジア文芸ライブラリー]美は傷』https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393455111.html

◇2月13日 公開◇
西田幾多郎と松下幸之助 → https://book.asahi.com/jinbun/article/15615737
西田幾多郎の思想には、現世的・近代資本主義における都市生活者の宗教といった特徴を持つ新仏教運動の影響が見られる。そのため、西田の指導を受けた真言宗智山派の高神覚昇と西田の弟子と接点の多い松下幸之助にも、その影響が見られる。『西田哲学の仏教と科学』(坂本慎一著、春秋社刊)から、三者の「働く人の哲学」を比較した部分を紹介したい。
書籍はこちらから → 『西田哲学の仏教と科学――「場所的論理の立場から、科学を考へ直す」』https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393311455.html

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☆新刊案内(2月刊行)☆  https://www.shunjusha.co.jp/search/new.html
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●『[原始仏典IV] 小部経典 第二巻』
中村 元 監修・訳 / 前田 專學 監修 / 羽矢 辰夫 編集 / 矢島 道彦 編集 / 榎本 文雄 編集 / 藤本 晃 訳
A5判/496頁/10,450円
『パーリ語三蔵』の「経蔵」に所収の『小部経典(クッダカ・ニカーヤ)』の現代語訳。最古の経典「スッタニパータ」と天界への転生事例集「ヴィマーナヴァットゥ」を収録。
https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393113653.html
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●『詩吟女子――センター街の真ん中で名詩を吟ずる〈改訂版〉』
乙津 理風 著
四六変判/280頁/2,640円
詩吟の歴史から吟じ方のスタイル、詩吟と民謡の違い、そして古典の名詩の解説に至るまで、誰が読んでも徹底的に分かり易く紐とく、買ったその日から詩吟を始められる一冊!
https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393436646.html
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♪楽譜〈新装版〉♪ 計1点

・メンデルスゾーン集[1]
井口 基成 編集・校訂
菊倍判切付表紙/152頁/2,420円
ソナタ ホ長調 op.6
厳格な変奏曲 ニ短調 op.54
アンダンテと変奏曲 変ホ長調 op.82
カプリッチオ 嬰ヘ短調 op.5
ロンド・カプリチョーソ ホ長調 op.14
3つの幻想曲または奇想曲 op.16
前奏曲とフーガ op.35‐1
こどものための小曲集(全6曲)op.72
3つの練習曲 op.104b
アンダンテ・カンタービレとプレスト・アジタート
https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393918357.html

*今月の営業部イチオシ本*
●『実録 ブッダの瞑想法――死のレッスン』
地橋 秀雄 著
四六判/336頁/2,530円
ヴィパッサナー瞑想のエキスパートが体験した認知症の母の看取り。マインドフルネスと慈悲の瞑想を駆使して苛酷な介護現場を最期まで愛情をもってやり抜く経緯が、仏教的視座から追体験できる、今までにない「死へのレッスン」。
https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393710876.html

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★ 近刊案内(3月刊行予定) ★ https://www.shunjusha.co.jp/search/next.html
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●『ご宝号念誦――その成り立ちとこころ』
武内 孝善 著
四六判/272頁/3,300円
念仏、題目と並んで広く親しまれている「南無大師遍照金剛」。弘法大師の宝号を唱えることは、いつから行われ始めたのか。新史料に基づき解明を試みた意欲作。
https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393172971.html
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●『[現代哲学への招待]君はいま夢を見ていないとどうして言えるのか――哲学的懐疑論の意義〈新装版〉』
バリー・ストラウド 著 / 永井 均 監訳 / 岩沢 宏和、壁谷 彰慶、清水 将吾、土屋 陽介 訳 / 丹治 信春 監修
四六判/504頁/4,840円
近代哲学は懐疑論を克服できたのか? カント、オースティン、ムーア、カルナップ、クワインらの解答を吟味、未だ解決されぬ側面を明らかにし、知の根拠を揺るがす問題作。
https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393324189.html
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●『[人智学のパースペクティヴ] [3]宗教治療・教育・人生』
ルドルフ・シュタイナー 著 / 高橋 巖 訳 / 飯塚 立人 編集
四六判/352頁/4,180円
シュタイナー最晩年の治癒論・教育論。私たちの内なる教師・医師・聖職者に呼びかける「人間の全体性」に基づいた、かけがえのない人生のケア論。自由と愛の人智学の精華。
https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393325681.html
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●『バッハ 音楽創造の宇宙』
クリストフ・ヴォルフ 著 / 松原 薫 訳
A5判/512頁/5,500円
バッハの主要作品に新たな光をあて、残された史料からその全体像と創作思想を見事に描き出す。初期の器楽曲から晩年の声楽曲まで、バッハ研究の第一人者による包括的作品論。
https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393932261.html
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●『[春秋社音楽学叢書]音楽で「良い子」は育てられるのか――「情操」から読み解く音楽教育史』
山本 耕平 著
四六判/280頁/3,080円
なぜ学校の音楽の授業に苦手意識を感じる人が存在するのか。「豊かな心の醸成」を大きな目標に掲げる本邦の音楽教育、その根底に横たわる思想と課題に光をあてる一冊。
https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393936153.html
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♪楽譜〈新装版〉♪
計4点

・シューベルト集[1]
井口 基成 編集・校訂
菊倍判切付表紙/154頁/2,420円
ソナタ集1:1)イ短調op.42(D.845)/2)ニ長調op.53(D.850)/3)イ長調op.120(D.664)/4)変ホ長調op.122(D.568)/5)イ短調op.143(D.784)/6)ロ長調op.147(D.575)

・シューベルト集[2]
井口 基成 編集・校訂
菊倍判切付表紙/168頁/2,750円
ソナタ集2:7)イ短調op.164(D.537)/8)ハ短調遺作(D.958)/9)イ長調遺作(D.959)/10)変ロ長調遺作(D.960)/11)ト長調op.78 (D.894)

・シューベルト集[3]
井口 基成 編集・校訂
菊倍判切付表紙/132頁/2,200円
即興曲op.90、op.142(D.899 935)/楽興の時op.94(D.780)/「さすらい人」幻想曲op.15(D.760)

・チャイコフスキー集
井口 基成 編集・校訂
菊倍判切付表紙/176頁/2,860円
四季op.37a/ソナタト長調op.37/無言歌op.2‐3/ロマンスop.5/ユーモレスクop.10‐2/ノクターンop.19‐4/主題と変奏曲op.19‐6/悲しき歌op.40‐2/無言歌op.40‐6/ナータ・ワルツop.51‐4/ロマンスop.51‐5/ドゥムカop.59/子守歌

(※刊行時期は変更となる場合がございます。)

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☆書評・重版情報☆ https://www.shunjusha.co.jp/news/
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○ 朝日新聞朝刊2/22にて『クラウディオ・アバド』が紹介されました → https://www.shunjusha.co.jp/news/n60251.html
2025年2月22日の朝日新聞朝刊にて、 ヴォルフガング・シュライバー 著、 杉山 有紀子 訳 『クラウディオ・アバド――静かな革命家』の書評が掲載されました。
評者は、批評家・立教大学教授(文学、中国思想)の福嶋亮大氏です。
「アバドのさっそうとした演奏の記録は、われわれに自らの栖(すみか)を探す力を与えるだろう。」

○ 読売新聞朝刊3/2にて アジア文芸ライブラリー『美は傷』が紹介されました → https://www.shunjusha.co.jp/news/n60313.html
2025年3月2日の読売新聞朝刊「本よみうり堂」にて、 エカ・クルニアワン 著、 太田 りべか 訳 『美は傷』(アジア文芸ライブラリー)の書評が掲載されました。
評者は、人類学者・立教大学教授の奥野克巳氏です。
「マジックリアリズムを巧みに操りながら著者は、動乱の時代の暴力だけでなく、それらが存在しなかったかのように日々をやり過ごすインドネシアの傷を、文学の力で力強く描き出す。」

○ 重版情報 → https://www.shunjusha.co.jp/news/nc3760.html
『エンドレスエイトの驚愕――ハルヒ@人間原理を考える』
三浦 俊彦 著
四六判/2018年1月刊/定価2,750円【4刷】
超人気アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』第2期で昂奮・悲嘆こもごもの大激論を巻き起こした「エンドレスエイト」。
第12話から第19話にわたるこの空前の実験的試みに、分析哲学の理屈力が挑戦。
〈15498→15532〉と現代アートの密かな関係とは?

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□営業部だより□
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小社の好評7刷ロングセラー 『静寂から音楽が生まれる』(2019年刊)の著者 アンドラーシュ・シフと、彼が創設した室内オーケストラ「カペラ・アンドレア・バルカ」の6年ぶりとなる日本ツアーが、3月に開催されます! 詳細は、以下の通り。

3/21(金) 川崎公演 於ミューザ川崎シンフォニーホール https://www.kawasaki-sym-hall.jp/events/calendar/detail.php?id=3781
【オール・バッハ・プログラム】

3/22(土) 大阪公演 於フェニーチェ堺 https://www.fenice-sacay.jp/event/23522/
【オール・バッハ・プログラム】

3/23(日) 京都公演 於京都コンサートホール https://www.kyotoconcerthall.org/calendar/?y=2025&m=3#key26003
【オール・モーツァルト・プログラム】

3/25(火)・3/26(水) 東京公演 於東京オペラシティ https://www.operacity.jp/concert/calendar/detail.php?id=16443
■3/25(火)公演
【オール・バッハ・プログラム】
■3/26(水)公演
【オール・モーツァルト・プログラム】

なお、カペラ・アンドレア・バルカは2025/26年のシーズンで活動を終了することを 発表しています。今回の日本公演も、会場によってはすでにチケット完売となっている盛況ぶりです。この機会に、円熟した巨匠の素顔を知ることができる 『静寂から音楽が生まれる』もぜひお手に取っていただけますと幸いです。 (E)
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発行:株式会社 春秋社
〒101-0021 東京都千代田区外神田2-18-6
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■バックナンバー
【Vol.071】 2025年 2月 7日 配信 → https://haruaki.shunjusha.co.jp/posts/8628
【Vol.070】 2024年 1月 3日 配信 → https://haruaki.shunjusha.co.jp/posts/8611
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