メールマガジン Vol.076
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春秋社 メールマガジン【Vol.076】
2025年 7月 4日配信
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巻頭言
いまひとたびSNSを開けば、各政党・政治家による広報活動が目に飛び込んでくる。今月20日に執行される参議院選挙が影響しているのだろう。「所得増」とか、「ファースト」とか、明るい未来が高らかに語られる一方で、投稿に対して賛同する者、批判する者、阿鼻叫喚のさまざまな声を見ることができる。とはいえ、それはこれまでの選挙とあまりかわりばえのしない、いたって普通の風景だ。
しかし最近とくに、ある単語が散見されるようになった気がする。
「悪口」である。
これはとりわけ「党の悪口」という文脈で用いられている。つまり、ある政党に対して批判的に浴びせられる声は、正鵠を射る警告などではなく、ただのネガティヴ・キャンペーンや妨害行為の一種だと認識されているようだ。ただの陰謀論に耳を貸すなと言われればそれまでだが、刺々しく、そしてどこか熱気をもった言説が飛び交っていること、それが観察できることは事実だ。
社会に対するメッセージや宣伝広告は、まるで挿し枝をするかのように、次々と増殖し(propagare)ながら、われわれを取り囲む。民主主義国家でも、独裁国家でも、実態は変わらない。しかもそれは「私に激しい感情を抱かせ、私を灰色の日常から脱出させて」(*)くれる。
「悪口だ」と叫ぶ彼らは大真面目だ。そして「騙されるな」というからには次の確信がある。自分は騙されていない、と。そう思いたい気持ちはわからなくもない。なぜなら「私は啓発されて、世の中の現状を理解できたし、何をなすべきか分かっているし、時事を解き明かす鍵を持っているうえ、危険で心躍る活動に参画している」(*)からだ。
――だが、はたしてそれは本当なのか。
警戒せよ。あなたの態度など、いとも簡単に操れるのだ。(P)
(*) ジャック・エリュール『プロパガンダ』神田順子・ 河越宏一[訳]、206頁より。
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■目次■
▼webマガジン「web春秋 はるとあき」
▼「じんぶん堂」好評連載中!
▼新刊案内(6月刊行)
▼近刊案内(7月刊行予定)
▼書評・重版情報
▼営業部だより
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☆ webマガジン「web春秋 はるとあき」☆ https://haruaki.shunjusha.co.jp/
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●好評連載●
○軽刈田凡平の新しいインド音楽の世界 軽刈田凡平 → https://haruaki.shunjusha.co.jp/categories/1119
いま世界でもっとも面白い音楽シーンをめぐる連載。案内人は新進気鋭のインド音楽ライター、軽刈田凡平(かるかった・ぼんべい)
【第3回】自分探しのインド、あるいはインドの自分探しと日本インド化計画 → https://haruaki.shunjusha.co.jp/posts/8900
○鋼鉄の講義室 メタル文化学入門 齋藤 桂 → https://haruaki.shunjusha.co.jp/categories/1126
様々な角度からヘヴィー・メタルとそれをとりまく文化を捉える試み。「メタル文化学入門」の開講!
【第3回】「不満の冬」の音楽I → https://haruaki.shunjusha.co.jp/posts/8924
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★「じんぶん堂」好評連載中!★
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出版社と朝日新聞社による、“人文書の魅力を発信していくプロジェクト” 「じんぶん堂(powered by 好書好日)」では書籍紹介や読み物など、魅力的な内容をお届けしています。ぜひご覧ください。※木曜日更新(月3回)
◇6月5日 公開◇
生きた台湾社会の実像に迫る 倉本知明『フォルモサ南方奇譚』(評者:菊池秀明)(前編) → https://book.asahi.com/jinbun/article/15794052
◇6月12日 公開◇
生きた台湾社会の実像に迫る 倉本知明『フォルモサ南方奇譚』(評者:菊池秀明)(後編) → https://book.asahi.com/jinbun/article/15819453
華南における人口移動と民族関係を専門とする菊池秀明氏(国際基督教大学教授)による2回にわたる書評。
書籍はこちらから → 『フォルモサ南方奇譚』
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★新刊案内(6月刊行)★ https://www.shunjusha.co.jp/search/new.html
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●『シュタイナーの言葉〈新装版〉』
ルドルフ・シュタイナー 著 / 高橋 巖 訳 / 飯塚 立人 編
四六判/304頁/3,960円
近代主義の論理の呪縛を解き放ち、かけがえのない個人の自由な精神と生きる意味を求めて語られる偉大な思索者の至言。シュタイナーの統一的な全体像がわかる78の主題と変奏。
https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393325711.html
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●『シュタイナーのカルマ論――カルマの開示〈新装版〉』
ルドルフ・シュタイナー 著 / 高橋 巖 訳
四六判/264頁/3,520円
社会は個人の生き方の為に存在する。人間の魂の問題を宇宙を貫流する霊的因果律(=カルマ)として壮大な展望の下に考究したシュタイナー思想の根幹をなす重要な講義録。
https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393325728.html
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●『やさしいヴィパッサナー瞑想入門〈新装版〉』
アリンナ・ワイスマン、 ジーン・スミス 著 / 井上 ウィマラ 訳
四六判/288頁/2,970円
長年ヴィパッサナー瞑想を指導してきた西洋人女性による仏教瞑想入門書。仏法僧への帰依、八正道、慈悲など、仏教の基本的な教えを現代的なスタイルでわかりやすく説く。
https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393365830.html
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●『草と貝殻――言葉と文学をめぐる断章』
岩切 正一郎 著
四六判/312頁/2,750円
本を読むとき、文字の渚に、声の波が寄せている――。詩人であり、名だたる演出家の舞台で戯曲を翻訳した仏文学者による、言葉の美に浸る24のエッセイ。
https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393464038.html
*今月の営業部イチオシ本*
●『人生というクソゲーを変えるための仏教』
ネルケ 無方 著
四六判/288頁/2,200円
理屈っぽいドイツ人禅僧が、仏教は人生というクソゲーから降りて新しい何かを見いだそうとする営みであると定義し、原始仏教、大乗仏教、親鸞、道元と仏教の教えを辿ってそれを現代人に分かりやすく整理する異色の仏教入門書。
https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393134726.html
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★近刊案内(2025年7月刊行予定)★ https://www.shunjusha.co.jp/search/next.html
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●『空海と華厳思想』
竹村 牧男 著
四六判/464頁/5,280円
密教と華厳について仏身・言語観・世界観・成仏観・慈悲の観点から教理上の比較研究をした第一部と、代表作『十住心論』第九極無自性住心を逐文解説した第二部からなる大著。
https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393172988.html
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●『プロパガンダ』
ジャック・エリュール 著 / 神田 順子、河越 宏一 訳 / 武田砂鉄 解説エッセイ
四六判/600頁/4,950円
ソ連でも、中国でも、米国でも、すべて人間はプロパガンダに晒されている。20世紀の大思想家による、心理学と社会学の双方からプロパガンダを分析・考察した渾身の労作。
https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393333914.html
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●『手塚治虫のオキナワ〈新装版〉』
本浜 秀彦 著
四六判/276頁/3,520円
手塚をマンガ家として〈復活〉させたもの――それはオキナワだった。戦争、基地、アメリカ……、その描写にこめたものとは。かつてない手塚論にして、出色の戦後日本考。
https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393342039.html
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●『トラウマから回復するセラピーヨガ――自己発見・癒し・変容のためのポリヴェーガル理論に基づく30の実践』
アリエル・シュワルツ 著 / 松本 くら 訳
A5判/272頁/3,300円
ポリヴェーガル理論、感情神経科学、トラウマ・インフォームド・ケアに基づく現代科学とヨガという伝統的叡智を融合。30の実践で心身両面からトラウマを癒すセルフケア書。
https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393365762.html
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●『サティとドビュッシー――先駆者はどちらか』
青柳 いづみこ 著
四六判/338頁/3,300円
フランス音楽史上、最も影響力をもち最も異彩を放つ〈奇才〉作曲家と〈天才〉作曲家の頂上決戦! 19世紀から20世紀にかけての燦然と輝くフランス近代音楽史を旅する。
https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393932407.html
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●『ハイドン交響曲〈新装版〉』
中野 博詞 著
四六判/296頁/4,180円
史料研究とは何か。楽譜校訂はどのようになされるのか。ハイドン研究所での校訂作業の実態をもとに、従来のハイドン研究を鳥瞰しつつ、交響曲の全貌と宗教音楽家ハイドンを論じる。
https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393932421.html
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●『バッハ 伝承の謎を追う〈新装版〉』
小林 義武 著
四六判/368頁/4,620円
20世紀バッハ研究の総決算。忘れられた演奏習慣、真偽不明の作品、「フーガの技法」「ロ短調ミサ曲」など数々の謎を、厳密な資料学的研究の立場から解明する。
https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393932438.html
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●『音楽療法の道しるべ――心とからだの不思議な関係』
佐治 順子 著
A5判/168頁/2,750円
音楽療法は心の避難所。斯界の第一人者による「音楽療法」実践とその科学的検証の試み。基礎・方法論から実践までをわかりやすく紹介。音楽による介護・看護の効果と意味。
https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393936177.html
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●『バッハ 演奏法と解釈――ピアニストのためのバッハ』
パウル・バドゥーラ=スコダ 著 / 今井 顕 監訳 / 松村 洋一郎、堀 朋平 訳
A5判/690頁/9,900円
常識や思い込みから解き放たれ、ピアノで生き生きとバッハを弾くために。原典版のまっさらな楽譜や装飾音奏法の堅苦しい規則を丁寧に解きほぐし、バッハ演奏の本質に迫る。
https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393938027.html
(※刊行時期は変更となる場合がございます。)
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☆書評・重版情報☆ https://https://www.shunjusha.co.jp/news/
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○朝日新聞朝刊6/28にて『至上の幸福をつかさどる家』が紹介されました https://www.shunjusha.co.jp/news/n61451.html
2025年6月28日の朝日新聞朝刊にて、 アルンダティ・ロイ 著、 パロミタ 友美 訳『至上の幸福をつかさどる家』(アジア文芸ライブラリー)の書評が掲載されました。
評者は、京都大学教授(文化人類学)の石井美保(いしい・みほ)氏です。
「その愛に生者も死者も包み込まれ、失った魂を取り戻す。それは追悼と再生の道程だ。」
○共同通信社書評 『フォルモサ南方奇譚』が紹介されました
共同通信社配信にて、 倉本 知明 著『フォルモサ南方奇譚』の書評が掲載されました。
評者は、アーティストの佐藤朋子氏です。
「著者が誘う台湾南部への旅は、幻想に逃げずに現実と向かい合う方法そのものだ。」
◇イベント情報◇
本作の刊行を記念して、以下のイベントが開催予定です。
◇7/24(木)18:30~ 神保町・東京堂書店 トーク&サイン会(対面のみ、要事前申込)
http://tokyodo-web.co.jp/blog/?p=25233
◇7/25(金)19:30~ 西荻窪・旅の本屋のまど スライドトークイベント(対面+サイン会/オンライン、要事前申込)
http://nomad-books.co.jp/event/event.htm
♪重版情報♪ https://www.shunjusha.co.jp/news/nc3760.html
●『はじめての人におくる般若心経』
横田 南嶺 著
四六判/2024年1月刊/2,200円【4刷】
空の思想をやさしく繙き、苦しみからの解放を説く。「変わりゆく」ことの積極的な意味とはなにか。豊穣な智慧を現代にわたす。
☆本書は、人文系の専門書出版社11社による共同企画 「四六判宣言」の出品書目です。
開催書店様の情報など、今年のフェアに関する発信はこちら https://x.com/shirokuban もご覧ください。
●『紫式部と清少納言が語る平安女子のくらし』
鳥居本 幸代 著
四六判/2023年11月刊/1,980円【2刷】
紫式部や清少納言をはじめ、厳格な規範や習慣に縛られ苦悩を抱えながらも幸福を求め人生を謳歌した女性たち。誕生から成長・結婚・出産・キャリア・終活まで、貴族女性の生涯を掘り下げ、宮廷での生活、愛憎渦巻く人間関係、人生の哀歓に迫る。驚きと共感に満ちあふれた「あはれ」で「をかし」な女性たちの生きざまとは――。
『源氏物語』『紫式部日記』『枕草子』ほか、古典文学をわかりやすく、より深く愉しむための新たな知見や視点満載の書。
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□営業部だより□
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昨日7月3日は、現在のチェコ出身の小説家、フランツ・カフカ (1883-1924)の誕生日でした。
昨年はカフカ没後100年、おととしは生誕140周年とアニバーサリーイヤーが続きました。実は今年も、最晩年の書簡という一級資料であり、彼の文学を伝える重要な書である『カフカ 最後の手紙』(ヨーゼフ・チェルマーク、マルチン・スヴァトス 編 / 三原弟平 訳)が白水社より復刊されるなど、話題に事欠きません。それだけ、日本の読者たちに彼の作品が愛されていることの証左でもあるかと思います。
実は、小社にもカフカ関連書籍が一冊。それも、カフカの日記と手紙をてがかりに、弱くあることの意味を再考し、現代人にとってのヒントをちりばめた『カフカはなぜ自殺しなかったのか?』(頭木弘樹 著)です。
20世紀を代表する作家カフカは、いつも死にたいと思っていた――。しかし、ついに彼は自殺を実行はしませんでした。親との関係に苦しみ、執筆と「パンのための仕事」の狭間でもがき、結婚に不安を抱き......。人生のほぼすべての場面で苦悩していた彼は、いったいどのように人生を全うしたのか......。気になりませんか?
ぜひ、この機会にご一読をおすすめいたします。
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■バックナンバー
【Vol.075】 2025年 6月 6日 配信 → https://haruaki.shunjusha.co.jp/posts/9132
【Vol.074】 2025年 5月 2日 配信 → https://haruaki.shunjusha.co.jp/posts/8831
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