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アルス・ピヤニカ――鍵盤ハーモニカの楽堂 南川朱生(ピアノニマス)

最古の鍵盤ハーモニカ

 前回までは、西洋フリーリード史の全体像や、鍵盤ハーモニカのルーツ楽器の一部を紹介してきました。今回はいよいよジェネリックな鍵盤ハーモニカの定義を網羅した、世界最古と思われる、誰がどこからどう見ても「ザ・鍵盤ハーモニカ」な楽器の詳細に迫ります。

 

生き別れの兄弟

 1820年代後半はフリーリード楽器史上のエポックであり、大豊作の続いた期間でした。イギリスではチャールズ・W・ウィートストーン(Charles W. Wheatstone)がクロマティックコンサーティーナやシンフォニウム、ウィーンではシリル・デミアン(Cyrill Demian)がダイアトニックアコーディオンの特許をそれぞれ申請し、前回ご紹介した巨大蝶ネクタイ「ノイ・チャン」などもこの時期に生まれました。まさに「第二次フリーリードベビーブーム」の様相を呈していたのです。なかでも1829年は、幾つかのフリーリード楽器が相次いで発明されたキーイヤーでした。

(続きは書籍でお楽しみください)

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著者略歴

  1. 南川朱生(ピアノニマス)

    1987年生、東京都在住、元IT企業の銀座OL。日本を代表する鍵盤ハーモニカ奏者・研究家。世界にも類を見ない、鍵盤ハーモニカの独奏というスタイルで、多彩なパフォーマンスを行う。

    所属カルテット「Tokyo Melodica Orchestra」は米国を中心にYoutube動画が35万再生を記録し、英国の世界的ラジオ番組classic fmに取り上げられる。研究事業機関「鍵盤ハーモニカ研究所」のCEOとして、大学をはじめとする各所でアカデミックな講習やセミナーを多数実施し、コロナ禍で開発したリモート学習教材類は経済産業省サイトに採択・掲載される。東京都認定パフォーマー「ヘブンアーティスト」資格保有。これまでにCDを10作品リリースし、参加アルバムはiTunesインスト部門第二位を記録。楽器の発展と改善に向け多方面で精力的に活動している。趣味は日本酒とテコンドー。

    【オフィシャルサイト】https://akeominamikawa.com
    【鍵盤ハーモニカ研究所】https://melodicalabo.com

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