半地下の鍵盤ハーモニカ
前回の記事では、海外の鍵盤ハーモニカを参考に製造した日本産の鍵盤ハーモニカが、主要3メーカーより発売され、それらが教育現場へ到着すると同時に、これまで音楽室の「一人一台楽器」の王者だったハーモニカの栄光に、うっすら不穏な影が現れ始めた……というお話をしました。
王座が揺らぎ始めた理由について、少しだけ時を戻して、1961年末の業界紙を見ていきましょう。
1961年末、「波」に乗れなかったハーモニカ
この頃、巷ではザ・ビートルズ、ザ・ベンチャーズなどの世界的ロックアーティストらの来日を目前に、第一次エレキギターブームが起きようとしていました。そんな1961年末、『楽器商報』は「音の業界1961年」という見出しで、以下のようなニュースを報じています。
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