web春秋 はるとあき

春秋社のwebマガジン

MENU

アルス・ピヤニカ――鍵盤ハーモニカの楽堂 南川朱生(ピアノニマス)

蠢く鍵盤ハーモニカ

 前回までの記事では、鍵盤ハーモニカの内部構造や、音が鳴る仕組みを分子レベルで探ってきました。今回からは、いよいよヨーロッパで鍵盤ハーモニカが誕生したその歴史を探るべく「世界史編」をお届けしたいと思います。

 

フリーリード楽器の世界史調査における3つの問題

 まずは本編に進む前に、「フリーリード楽器の世界史」をとりまく状況がどのような状態なのかを整理します。ここでは大きく3つの問題を取り上げたいと思います。

 1つ目の問題は、1つの楽器が生まれる過程は、一筋縄ではないということです。まず、ほぼあり得ない例としては以下の図のような生まれ方です。

 このように、突然誰かの秀でた思いつきにより、1つの完成した楽器がポッと生まれることは極々稀です。1つの楽器が生まれる時、その楽器は形状を変え、はたまた作り手を変え、生まれたり、消えたり、真似したり、真似されたり、盗まれたり、改良されたり、変異したりして、きわめて複雑な進化が起こっています。また、この進化は離れた場所で同時多発的に発生、進行することも珍しくないのです。

(続きは書籍でお楽しみください)

タグ

バックナンバー

著者略歴

  1. 南川朱生(ピアノニマス)

    1987年生、東京都在住、元IT企業の銀座OL。日本を代表する鍵盤ハーモニカ奏者・研究家。世界にも類を見ない、鍵盤ハーモニカの独奏というスタイルで、多彩なパフォーマンスを行う。

    所属カルテット「Tokyo Melodica Orchestra」は米国を中心にYoutube動画が35万再生を記録し、英国の世界的ラジオ番組classic fmに取り上げられる。研究事業機関「鍵盤ハーモニカ研究所」のCEOとして、大学をはじめとする各所でアカデミックな講習やセミナーを多数実施し、コロナ禍で開発したリモート学習教材類は経済産業省サイトに採択・掲載される。東京都認定パフォーマー「ヘブンアーティスト」資格保有。これまでにCDを10作品リリースし、参加アルバムはiTunesインスト部門第二位を記録。楽器の発展と改善に向け多方面で精力的に活動している。趣味は日本酒とテコンドー。

    【オフィシャルサイト】https://akeominamikawa.com
    【鍵盤ハーモニカ研究所】https://melodicalabo.com

キーワードから探す

ランキング

お知らせ

  1. 春秋社ホームページ
  2. web連載から単行本になりました
閉じる