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アルス・ピヤニカ――鍵盤ハーモニカの楽堂 南川朱生(ピアノニマス)

鍵盤ハーモニカの運び屋

 第1回〜第4回では、鍵盤ハーモニカという楽器がいかにして日本に伝わり、音楽室の「一人一台制」楽器の地位へと登り詰めたのかを、日本国内の社会情勢や、教育界、産業界との関わりと共に、じっくり見守って参りました。

 しかし当たり前のことですが、鍵盤ハーモニカが勝手に歩いて、船に乗って、日本に入国したわけではありません。今となっては、製品そのものがなくともデータをもとに3Dプリンターで製作……といったことも可能ですが、もちろんそんな技術は1950年代にはございません。加えてただ物理的に存在しただけでは、その後の大きな産業には繋がりません。つまり、国内に持ち込んで、宣伝していた何者かがいたはずです。

 今回は、日本に鍵盤ハーモニカ「クラヴィエッタ」と「ボタン式メロディカ(以下メロディカ)」を持ってきた、とある人物にフォーカスしたいと思います。楽器普及へ向けての熱意を持つビジネス・パーソンのたどった軌跡……その経緯や意図、周囲の人物の発言からは、なぜ日本では教育楽器としてだけではなく、劇伴やBGMなどの裏方でひっそりと使われるポジションとなり得たのか、その背景が見えてくるのです。――ここからはじまるのは、教育界、産業界の鍵盤ハーモニカ・バブルよりもほんの少し昔、「舶来品」であった鍵盤ハーモニカに目をつけた、ある挑戦者の物語です。

(続きは書籍でお楽しみください)

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著者略歴

  1. 南川朱生(ピアノニマス)

    1987年生、東京都在住、元IT企業の銀座OL。日本を代表する鍵盤ハーモニカ奏者・研究家。世界にも類を見ない、鍵盤ハーモニカの独奏というスタイルで、多彩なパフォーマンスを行う。

    所属カルテット「Tokyo Melodica Orchestra」は米国を中心にYoutube動画が35万再生を記録し、英国の世界的ラジオ番組classic fmに取り上げられる。研究事業機関「鍵盤ハーモニカ研究所」のCEOとして、大学をはじめとする各所でアカデミックな講習やセミナーを多数実施し、コロナ禍で開発したリモート学習教材類は経済産業省サイトに採択・掲載される。東京都認定パフォーマー「ヘブンアーティスト」資格保有。これまでにCDを10作品リリースし、参加アルバムはiTunesインスト部門第二位を記録。楽器の発展と改善に向け多方面で精力的に活動している。趣味は日本酒とテコンドー。

    【オフィシャルサイト】https://akeominamikawa.com
    【鍵盤ハーモニカ研究所】https://melodicalabo.com

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